ポイント1:安倍路線の継承

 まず1つ目は、国民の期待に応えて、前政権の継承をスムーズに進めることです。具体的には、前述したようにコロナ対策と経済対策が中心となっていくでしょう。

 安倍路線の継続と言えば簡単に聞こえるかもしれませんが、新型コロナの拡大によって、景気悪化への懸念はますます強まっています。アベノミクスのイメージが強いからこそ、十分な経済政策を打ち出せなかった場合、菅政権に失望が広がる可能性も強いとも言えます。

[イシケン’s EYE]
菅政権の経済政策は、アベノミクスのようなマクロ政策ではなく、通信や地銀など特定業界に関するミクロ政策であることが特徴です。個別の成果が分かりやすい一方、特定業界への過度な介入の失敗や、経済全体に波及を生まないリスクもあります。

 こうした「守り」の姿勢は、大臣の顔ぶれにも表れています。20人のうち初入閣は5人にとどまっており、8人が再任しました。コロナ対策や2021年に延期された東京五輪・パラリンピックの実現に向けて、大きな変化よりも安定感のある布陣が選ばれたと言えます。

 ただし、安倍政権の外交が評価されていたこととは対照的に、菅政権への期待はあまり高くないことや、前政権が社会保障の問題に十分に取り組めなかったと指摘される一方、現政権に期待が高まっていることも各種世論調査から読み取れます。安定感を求められているとは言え、ただ継続するだけでは不十分であることも忘れてはいけません。