ポイント2:独自色は出せるか

 2つ目は、携帯電話料金の引き下げやデジタル庁、不妊治療の保険適用、オンライン診療の全面解禁など独自色の強い政策を実現することです。

 ともすると、代わり映えのしない政権に見えてしまうため、菅首相は早いタイミングで、独自手腕をアピールする必要があります。「縦割り打破」を目指し、行政改革担当相に河野太郎氏を据えたことは、その象徴と言えます。菅首相からの信頼が厚く、次の首相候補とも目される河野行革相は、期待に応えるため目玉政策を次々と打ち出しています。1日で4000件以上の投稿が殺到した、行政改革のアイデアなどを募る目安箱「縦割り110番」の設置や、印鑑やFAXの廃止など、精力的な動きは国民からの注目度も高まっています

 菅政権としても、選択的夫婦別姓の実現に向けた検討や、医師の処方箋なしでの緊急避妊薬の薬局販売、マイナンバー制度の見直しなどを次々と発信しており、まずまずの滑り出しを見せています。

 しかしながら、長年実現されなかった携帯電話料金の引き下げの実現や、政府機関が広範囲に連携する必要があるデジタル庁を機能させることは、決して簡単ではありません。「守り」だけでなく「攻め」においても実行力を示せるかが、支持率を維持する上で重要なポイントとなりそうです。

 たとえばデジタル庁については、平井卓也デジタル改革担当相が「民間から人材を取り入れ新省庁をつくりたい」と明言しました。Yahoo!元社長の宮坂学氏を副知事に据えた東京都のように、目玉となるリーダーを引き入れて、優秀な人材を引きつけられる組織や戦略を構築できるかが、最初の試金石になるでしょう。

[イシケン’s EYE]
デジタル庁の成否は、大臣自身の資質ではなく実行部隊のリーダー次第。外部人材を厚遇し、十分な予算と権限が与えられるかが重要です。コロナ禍で高まった「政府のデジタル化」への関心を背景に、「民から官」への人材移動を実現できるかに注目です。