誰もがネットワーキングパーティーへ出掛けるべきなのか?

 私たちの成功は、ネットワークに大きく依存するというのは、内向的な人には少々つらい事実でもあります。では新しい人脈を作るために「誰もがネットワーキングパーティーに行くべきなのか」といえば、そんなことはありません。

 コロンビアビジネススクールのポール・イングラム教授らの調査によれば、ネットワーキングイベントに参加した企業幹部の95%が新しいつながりを求めて参加していたにも関わらず、平均すると約半分の時間を、既に知っている人たちとの会話に使っていたそうです。しかもその調査では、参加者の中に占める知り合いの数は3分の1程度だったにもかかわらず、人は知り合いに話しかけてしまうようなのです。

 目的を持って参加した人、しかも企業幹部という比較的外向性の高そうな人たちですらこのような結果なのですから、人付き合いが苦手な人がネットワーキングイベントに参加したところで、新しいつながりを作ることはなかなか難しいでしょう。そもそもネットワーキングパーティーなどに積極的に行けるような人は、キャリアに迷うことも少ないように思います。

 そうしたイベントで自ら動けない内向的な方々に私がおすすめしたいのは、まず関係性を維持するところから始めることです。新しい人脈やネットワークを作ることではなく、既存の関係性をきちんとメンテナンスしていくのです。

 例えばオランダのある研究では、7年で友人の約半分が入れ替わるとされています。友人の総数自体は変わらなくとも、その内訳が半分程度入れ替わってしまうのです。私たちの友人関係というのは、残念ながら何もしなければ自然減していくものであるようです。

 人のネットワークは時間経過と共に構造が変化する「テンポラルネットワーク」に類すると言われています。一旦リンクがオフになり、しばらくそれが続くと会話をする可能性がどんどん減っていってしまうのです。しかし、一旦リンクがオンになると、しばらくの間、会話する頻度が上がるようです。何かのきっかけで再びつながりを取り戻した人たちと、その後しばらく話すようになることは皆さんの体感としてもあるのではないかと思います。

 自分から動くのがおっくうであれば、学生時代の友人の会合に顔を出してみたり、学校のイベントに参加してみたり、転職経験のある人は前職の同僚と毎年どこかで会食することなどから始めてみてはどうでしょう

 やや話が飛びますが、死の間際には仕事ばかりしていたことを悔やみ、もっと家族や友人との時間を大切にしておけばよかったと後悔する人が多いようです。しかし自分の人間関係を維持しようとしていれば、そうした後悔を和らげるだけでなく、キャリアにとってもいい影響を与えられるのではないでしょうか。

過去のつながりや人脈を掘り起こすことから始めよう
過去のつながりや人脈を掘り起こすことから始めよう