弱いつながりよりも強いつながりのほうが有効

 日本でもこの10年、SNSの普及もあって「弱いつながり」という概念が注目を浴びました。この概念はもともと、アメリカの社会学者、マーク・グラノベッターによって1970年代に提唱されたもので、人々がどのように新しい職を得たかについての研究から生まれたものです。

 しかし現在はインターネットを介してさまざまな情報を手に入れることができる環境にあり、強いつながりのほうが求人活動では有効だという見方もあります。さらに、弱いつながりは職業紹介には有効であるものの、内定の受諾までを考えた場合は強いつながりのほうが有効ではないかという議論もあります。

 それに強いつながりこそ、私たちの行動を変えてくれるものです。弱いつながりは行動変容を起こさないことが知られています。

 せっかく過去に作った強いつながりをみすみす失ってしまうのはもったいない。内向的だからこそ、新しいつながりを作ることから始めるのではなく、過去のつながりに目を向け、そのつながりから新たなつながりを求めていくことが、実は強固なネットワークを作る近道なのではないでしょうか。

文/馬田隆明 イメージカット/鈴木愛子