自分のキャリアを形成していく上で、ビジネススキルの向上より大切なもの、それが「人脈」です。コミュニケーションの自信がない内向的な人でも始められる人脈マネジメント術について、東京大学で教べんをとる馬田隆明さんに教えてもらいます。今回のテーマは「自分の弱さを生かした人脈術」です。「今回の人脈術骨子」を記事末にまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。

 内向的な人たちが、人とのつながりによってキャリアを構築していくことを考える本連載。連載を読んでいるうちに、誰かとつながりを作るために自分自身を変えていかなければ……と気負う人もいるかもしれません。自分を変えるには強い意志が必要――そう思われがちですが、本当にそうでしょうか? 今回は少し視点を変えて、「自分の弱さを強みに変える」、そんな環境作りについてお話しします。

環境を利用して自分をコントロールする

 内向的な人が外向的になろうと努力しようとしても、なかなか動くことはできません。異業種交流会などで勇気をふり絞って誰かに話しかけようとしても、おじけづいてしまったり、自分の中で言い訳を作って一歩踏み出すことができなかったりして、誰とも話せないまま終わった、なんてことは誰でも経験があるのではないでしょうか。例えば、ダイエットもそうです。多くの人がダイエットに失敗してしまいます。私たちは自分のコントロールが苦手で、湧き上がる衝動に勝てる人はほとんどいません。

 しかし、もし「●●を食べたい」という衝動を生み出さないような環境に身を置けばどうでしょうか。ある企業の食堂では、ヘルシーなメニューを手前に置き、カロリーが高いメニューは届きづらい場所に置いているそうです。ヘルシーな食材を自然と選べるような環境作りを行っているのです。もしあなたがいつもコンビニでお菓子を買ってしまうのであれば、そもそもコンビニに寄らないように、帰り道を変えてみてはどうでしょうか

 衝動をコントロールすることは誰にとっても難しいことです。だからこそ、その衝動が生まれる前に、衝動が生まれないような「環境作り」をすることで、結果的に自分をコントロールできるようにするのです。できないことを無理にやろうとするのではなく、まずは環境を整えることから始めてみましょう。