でも、それが簡単じゃないことも分かっている。

 これまでここで話してきたように私の場合は散歩と日記という方法を使って、グルグル、こねこね、自分自身の内側にじっくり問いかけてきました。

毎日違う結論が出ても、最後まで考え続ける

 去年の秋に始めた、アパレルブランド「e.(イードット)」は、マザーハウスにとって新しいチャレンジ。この決断に覚悟が決まるまでも4カ月かかった。

 「これまでやってきたクラフトマンシップの哲学から外れることなのかな」「いや、やっぱり今こそデザイナーとして挑むべきだ」

 一人でグルグル考え、日ごと、違う結論を出していました。途中でいろんな人の意見を聞くたびに、あっちかな、こっちかなとグラグラ揺れて、純度の高い自分の気持ちを研ぎ澄ますまでに、ずいぶん時間がかかってしまった。

 そして、出た結論は、「私、やっぱりチャレンジしたい」。

 私の夢と会社の哲学は一致する。冠はなんであれ、同じビジョンから生まれた新しい道。

「引き出しはいくつもあるほうがきっと楽しい。何より、私自身が挑みたい。成長したい」
「引き出しはいくつもあるほうがきっと楽しい。何より、私自身が挑みたい。成長したい」

私は自分を優先して考えた

 会社がどうあるべきかは置いておいて、私は私のことだけを考えた。自分勝手にわがままに、私の夢を優先したんです。

 それでいいと思う。だって、自分の決意を心から信じて応援できなかったら、会社のみんなを動かすことなんてできない。

 わがままになることは、エゴじゃない。