私にはもっと大切な仕事がある

 この後も私は毎日、刻一刻と変わる状況を伝え続けた。「きょうは路面店の営業時間を短縮することにしたよ」「実際のところ、セールスの数字はこれくらい下がってるよ」と包み隠さず。

 正直であることが、大事だと思うから。それが、みんなの不安の解消のためにできる第一歩。

 でも、それだけじゃ足りない。私にはもっと大切な仕事がある。それは、新しい希望を示すこと。みんなに「今までなかった仕事」をつくり出すこと。

 例えば、「テーブルの上を全部片付けて、まっさらな状態でサンプルを作ってみようよ!」と、職人の創造意欲をくすぐったり。「なかなかできていなかった素材管理、徹底的にやってみよう」と、手付かずだったストックの整理を提案したり。

みんなの手を止めないために

 案の定、倉庫の奥には“お宝”が眠っていた。「端切れの革をパッチワークみたいに組み合わせて、パスケースを作ってみようか?」というアイディアに、職人たちの目がキラキラ!と輝く。

 そうそう、みんな、手を動かしたいんだよね。だって職人は、モノをつくりながら癒やされる生き物だから(私自身もそうだから、すごく分かる)。

 これからは手元にある素材を思う存分使って、リメイク・リペア・リサイクルにめいっぱい挑戦してみるのもいいなと思っている。

 私の仕事は、みんなの手を止めないこと。