パリ進出のプロジェクトは、4年寝かせました

 できるだけ一人の時間を確保して、誰の顔も気にしなくていい場所で、自分だけの「素直な本心」を探っていきます。

 ゆらゆらと揺れる自分を感じながら、無理なく、自然と心が定まるまで待つ感じ。

 時間はかかるけれど、一度決心が固まれば、「もう動き出すしかない」と進むことができるんです。

 例えば、この秋から本格的にアクションを起こしたパリ進出については、かれこれ4年くらい、毎日毎日考えては寝かし、何度も同じ問いを自分に投げかけ続けて、ある日、「よし、やっぱり、私、やってみたい」と結論を出しました。

 実際に始めてみれば想像以上の障壁だらけで(笑)、成否がどう出るかは、正直、分かりません。でも、たっぷり時間をかけて決めたことだから、「私はそう簡単には諦めない」ことだけは自信を持って言えます。

 これまでやってきたことを振り返っても、手仕事中心だった途上国の伝統技術に大量生産方式を組み合わせたりと、私はいつも「両立し得ないと言われてきた対極にある2つのものから、それぞれのいいところを抽出して掛け合わせ、新しい価値を生む」というチャレンジを繰り返してきました。

 二者択一でもない、折衷案でもない、この考え方が自分の思考の基本軸になっているな、と気づいたのが5年ほど前で、「サードウェイ」と名づけました。