「私、人の意見に左右される弱い人間です」と連載第1回から告白していた、マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナーの山口絵理子さん。それでも山口さんは、誰のまねでもない「サードウェイ」を自ら切り開いてきた人だ。「よし、コレでいく」――そう強い意志を持つためにやっていることとは?

 強い意志は、ある日突然、降ってくるわけじゃない。

 自分の中にちょっとずつたまっていったぼんやりとした思いが、さらに時間をかけてだんだんと固く、形を成していくものじゃないかと私は思います。

 日々の思いをためていく。私にとって、そのベストな方法は、「日記」。

 朝の散歩やちょっとした移動時間を使って歩きながら(山口さんの毎日の習慣)、フワフワと頭の中に浮かべた気持ちを、手を伝わせて、文字という形にする。

 私の場合、文字にする方法にこだわりはなくて、ノートに書いたり、メモ帳に書いたり、キーボードを打ったり。

 いつも思いつきで書き散らすものだから、私のパソコンのデスクトップには「日記1」「日記2」「日記3」……と整理されないままのファイルがいくつも貼り付いています。「あれこれ」や「愚痴」とネーミングしたファイルもあって、とても人には見せられません(笑)。

「全然整理できていない日記ファイルがゴロゴロ転がっているんですよ。人には見せられない(笑)」
「全然整理できていない日記ファイルがゴロゴロ転がっているんですよ。人には見せられない(笑)」