仕事上の大事な予定と生理が重なって困ったことがある女性は少なくないはず。今回は、ピルを使って生理をコントロールする方法をご紹介します。女性が自分の体とうまく付き合う方法としてピルをすすめている、産婦人科医の遠見才希子さんと八田真理子さんに話を聞きました。

飲み方の工夫で大事な日と生理をずらす方法

 重要な仕事やプレゼンテーション、今後のキャリアを左右する資格試験などがある日は、体調を気にせず集中して臨みたいもの。でも、いくら調子を整えていても、生理前の気分のアップダウンや生理による出血や腹痛などが生じると、最良のパフォーマンスを出すのは難しくなってしまいます。プライベートでは、せっかくの温泉旅行や海水浴も生理が重なると、思い切り楽しめないものです。

 「生理の日をずらせたらいいのに!」と考えたことがある人に知ってほしいのが、ピルで生理日を移動させる方法です。産婦人科の遠見才希子さんは、「低用量ピルを飲んでいると、生理を自在にコントロールできるというメリットがあります」と言います。

 「女性の生理周期においては、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンの量が減ったタイミングで出血が起こります。つまり、ピルでそのホルモンが減るタイミングを調整すれば、生理の日を変えられます。普段から低用量ピルを飲んでいる人であれば、簡単な工夫で生理日をずらすことができます」と遠見さん。

 月1回の出血を起こす28日周期の低用量ピルを飲んでいる人は、休薬中(もしくはホルモンが入っていないプラセボを服用中)に生理が起こりますが、休薬のタイミングを変えることで生理日をずらすことができます(下のイメージ図を参照)。

生理による出血を避けたい日に低用量ピルを飲み、その日が過ぎたら休薬して出血を起こすスケジュールのイメージ
生理による出血を避けたい日に低用量ピルを飲み、その日が過ぎたら休薬して出血を起こすスケジュールのイメージ

 「例えば、生理になる期間を通常より1週間早めたい場合は、低用量ピルの服用を14日間で切り上げて、その後、7日間服薬を休むことで、いつもより1週間早く出血を起こすことができます。反対に1週間遅らせたい場合は、次の周期の低用量ピルのシートから1週間分の実薬のピルを前借りして、21日目以後も休薬せずに、1週間長く飲み続けてから通常通り休薬します」(※低用量ピルは、飲み続けやすいようにコンパクトな1シートの中に21錠または28錠入っています。21錠タイプはすべて実薬で、28錠タイプは、21錠または24錠が実薬で残りが偽薬です)

 「どちらの場合でも低用量ピルの服用をやめれば、そこから2~5日ぐらいの間に出血が起こります」と遠見さん。「基本的に、薬に含まれている女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの量が一定である1相性(いっそうせい)の低用量ピルなら、21日で休薬せず、それ以上飲み続けて、1~2カ月の間、出血を起こさなくても基本的には問題ありません。1相性の低用量ピルを使う人であれば、生理のタイミングが来てもいいときに休薬して生理を起こしたり、遅らせたければしばらく飲み続けたりする、という使い方も可能です。具体的な飲み方については、掛かり付け医に相談してみてください。日本では、2017年に最長120日間連続で飲めるピルが発売されましたが、今後は、毎月休薬する、いわゆる『周期投与』ではなく、休薬せず長期間飲み続ける『連続/フレックス投与』が主流になっていくと思います」