人の数だけ悩みもある。どんなに年を重ねても、悩みの種は尽きません。あなたの悩みに寄り添う連載、今回は39歳独身女性の「結婚」にまつわるお悩みです。

【前編】39歳独身、精神科医Tomyに悩み相談「結婚が不安です」 ←今ここ
【後半】精神科医Tomy「結婚は宿題じゃない。しなくてもいいのよ」

小3で決意していた「私は結婚しない」

 「小学校の行事で校庭に埋めたタイムカプセルが、30歳になる少し前に手元に戻って来たんです。当時私は8歳。そこには、『20年後の私へ』という作文が書いてありました」

 そう話すのは、小野亜子さん。都内に住み、フリーランスでライターをしている39歳の女性だ。

 「その中で私は、『周りのみんなは<将来結婚する>と言っているけれど、<私は将来、結婚しない>と思っています』と書いていました。当時の同級生に確認したところ、タイムカプセルの作文テーマは『結婚』だったわけではありませんでした。もしかすると、既に『結婚という選択肢が良いものではない』と思っていたのかもしれません」

結婚してハッピーエンドな物語なんて「嘘だ」

 小野さんは、不仲な両親の下で育った。父から、母から、日常的に互いの愚痴を聞かされる毎日。ほかに姉も兄もいるのに、いつも聞き役は幼い小野さんだった。どちらかの肩を持てば角が立つから、誰の味方になることもできず、ただじっと聞くだけ。時には「なぜ何も言わないの」と責められたこともある。

 母は、事あるごとに「(父と)結婚していなければ、私はもっと自由に生きることができたのに」「あなた(小野さん)がいるから、私はお父さんと離婚できない」と言っていた。父は機嫌によって態度が変わる人だった。家族全員が、父の顔色をうかがいながら生活する日々。

 そんな両親は、実は恋愛結婚だ。ある時小野さんは、結婚前に父が母に宛てて書いたラブレターを家の中で発見する。そこには、親に結婚を反対されていた母を説得する父の思いがつづられていた。その後二人は、親の反対を押し切って結婚。幸せなラブストーリーであれば、ここで「めでたしめでたし」なはずだ。

 しかし、目の前にいる両親の仲はすこぶる悪い。恋愛結婚の行き着く先って、こんな未来が待っているの?

 「だから『恋愛結婚』というものに不信感を抱いているんだと思います。幼い頃、『結婚してハッピーエンド』『両思いになってハッピーエンド』の物語を読むと、無性に腹が立ったのを覚えています。『嘘つき』とか、そんな気持ちで読んでいましたね」

写真はイメージ
写真はイメージ