自信を付けるにはどうしたらいい?

日経doors編集部(以下、――) 何をやっても自信が持てないんです。自分の意見も堂々と言えないですし。

豊田真由子さん(以下、豊田) 自信は、生まれた瞬間から備わっているものではないですよね。どこかに売っているものでもないし、意識や考え方を変えたら、いきなり現れてくるものでもない。「自分の考えをしっかり主張する裏付け」という意味での「自信」は、自分が何かを頑張ったことによって、自然と身に付いてくるものだと思うんです。

 体を鍛えると筋肉が付くように、何かを頑張ることによって、頭や心や体は鍛えられてくる。何を頑張るかは、もちろん人それぞれでいい。仮に、自分が思い描いたような結果は出なくても、頑張った努力は決して裏切りません。人間、易きに流れやすい生き物なので、努力することは大変なことかもしれない。けれど、努力は、決して自分を裏切らない。他人は裏切ることがあるかもしれないけれど(笑)。

 あの事件があって、私は政治家だった5年間だけでなく、これまでの人生すべてが壊れてしまったと思っていました。頑張ってきた努力は全部無駄だった、と。日本中の、見ず知らずの人から人格も人生も否定され、「私が生きてきた意味なんて、何もなかった」と感じる日々でした。

 けれど今回、テレビの情報番組で「新型コロナウイルスに関して、経験を基に発信する」という役割をいただき、「分かりやすい」という視聴者の声に接することができました。

 そのとき、「すべて失くしたわけではなかった。自分がこれまで学んできたこと、取り組んできたこと、悩み考え、判断してきたことは、知見や経験、分析・洞察力として、ちゃんと自分の中に残っていて、こうしてまた世の中に役立てることができた」と気づいたんです。そして、もう一度、前を向いて生きよう、と。

自信を持つためにするべきこと、豊田さんのアドバイス

―― 自信を持つためには、努力の他には何をすべきでしょうか?

豊田 上田さんは、自分の軸や考えというものを、形作っている途上なのだと思います。

 「周囲に気を使って、自分の意見を言えない」ということですが、仮に誰かと違う意見であっても、きちんとした根拠と見通しがあれば、きっとそれは「自信を持って」発信できるのではないでしょうか。

 それに、そもそも「みんなが同じ意見を言うこと」なんて、会社は望んでいないのでは。いろいろな意見・考え方が建設的にぶつかり合ってこそ、より良い方向や結論が生まれるのだと思いますし、それが「チームで仕事をする」ということですよね。

 知識や経験をきちんと蓄積していくと、違う状況や分野であっても応用して、理解・判断することができるようになります。混沌とした中から、何が問題であるか、それはなぜ生じているのか、解決していく方途は何か、複数ある方途の中で、なぜこれが最善であると言えるのかを、根拠をもって導き出せるようになります。

 そして、感性や創造性というものは、それぞれの人に内在するものに加えて、様々な事象に触れることで、磨かれていくものだと思います。現代社会は、情報の量が非常に多いですよね。逆に、その膨大な情報の渦の中で「何に接するか」「本物をどう見極めるか」が、すごく重要になってくると思います。