彼氏に求めるものって何?

 伊藤さんは、「自己肯定感が低く、ネガティブ思考」だった頃に交際していた人がいた。当時は、その彼に「すごく依存していた」という。「自分軸がなかったので、『新しい世界に連れて行ってくれる人』がいいと思っていました」

 彼は海外出張が多く、会える日も少ない。忙しい彼に、伊藤さんは「最低でも1日1回は連絡を取りたい」とお願いするものの、次第に「重い」と言われるようになり、別れを迎える。「ショックで、1年くらいは引きずりました。その後は私も海外で働き、帰国してから出会ったのが、今の彼です」

 2年ほど前から交際している2つ年下の彼は、一緒にいて楽しいし、わがままも聞いてくれる寛大な人。そんな彼に対して、「私のほうが、まったく恋愛モードになれないんです」と伊藤さんは言う。

 かつては、交際する人に「新しい世界に連れて行ってもらいたかった」が、この3年の間に自信がつき、「新しい世界に連れて行ってもらわなくても、自分で行ける」ことに気づいてしまった。「そのときふと、『彼氏に求めるものって何だろう?』と思うようになってしまって」

 仕事が終わった後に、オンラインセミナーを受け、夕食をとりお風呂に入る。そこから眠るまでのわずかな時間を、自分だけのために使いたい。「彼と、LINEや電話をしたいと思わないんです。彼に割く時間があったら、今ハマっているドラマを見る時間に充てたいくらい。周りの友人たちからは『彼氏と、もっと会いたい』なんて悩みも聞くのに、私は彼を大切にできていないのではと思ってしまい、自己嫌悪に陥ることも」

 思い悩んだ伊藤さんは、彼と話し合い「お互い無理のないペースで続けていこう」と解決。月に1~2回会う程度だが、現在も交際は続いている。けれど、彼と「今すぐ結婚したいか?」と聞かれると、即答できない自分がいる。

 「結婚は30歳までにしたい、と思っています。でも今は、キャリアカウンセラーの勉強をし、資格を取ることをまず優先したい。そうすると、結婚はもっと後になってしまうかもしれない。仕事も、将来の目標も、恋愛も……、と器用にこなせる自信がないんです。どれも意識が散漫になり、中途半端になってしまうような気がして」