料理は愛 「おいしい」の言葉で幸せに

 仕事で遅くまで働いると、疲れちゃうでしょ。休日に、作り置きをして冷凍しておくのはハードルが高いかもしれないけれど、ミキサーを買って野菜ジュースを作るだけなら、できそうじゃない? 今は市販の野菜ジュースでも素材の味を生かしたものがあるから、うまく生活に取り入れられそうですよね。

 毎日忙しく働いていても、自分の体は大切にしてあげてほしいなぁ。食べたものは自分の体に戻ってくるのだから、少しでも料理を作る癖をつけてほしいと思いますね。

 料理は「愛」ですよ。私が作って、家族や周りの人たちに食べてもらうのも「愛」。それを「おいしい」と言って食べてくれる人からもらうのも「愛」。相乗作用よね。おいしいものを作って喜んで食べてくれたら、もっとおいしいものを作ろうと思うし。

 家族に食べさせるときは、何点だったかな? と、試験の解答を採点してもらっている気分になってどきどきしちゃう。たとえ「おいしい!」と言わなくても、ぱくぱく食べている姿を見ると「100点だったかな」とうれしくなるし、食べている顔を見るだけでも、楽しいのよね。

 私が作った料理を「おいしい」と言って喜んでくれる。それだけで今日1日がうれしくなるし、幸せな気分になるの。幸せって、大げさなものじゃないのよ。そんなふうに近くにいっぱい転がっているのよね。

左「料理は愛です!」 右 二人の息子の子育てと、料理の喜びがたっぷり詰まったエッセー『おいしい子育て』(ポプラ社)
左「料理は愛です!」 右 二人の息子の子育てと、料理の喜びがたっぷり詰まったエッセー『おいしい子育て』(ポプラ社)

 後編では、レミさんが持っていた結婚観や2019年に亡くなった夫の和田誠さんとのエピソード、さらに「ご機嫌でいるための秘訣」などを聞きました。引き続き【後編】「平野レミ 私は私 誰かに好かれるための努力なんて不要」もお読みください。

取材・文/尾崎悠子(日経xwoman doors)写真/中西裕人

後編「平野レミ 私は私 誰かに好かれるための努力なんて不要」では、次のストーリーを展開

■周りと比べないコツは、好きなことして楽しく暮らす
■やりたいように、好きなように生きてきた
■育児と仕事の両立「周りの支えがあったから」
■ご機嫌でいるための秘訣 1.しっかり寝る
■ご機嫌でいるための秘訣 2.元気が出る音楽を聴く
■これからも、「キッチンから幸せ発信!」
平野レミ
料理愛好家/シャンソン歌手
主婦として料理を作り続けた経験を生かし、NHK「平野レミの早わざレシピ」など、テレビや雑誌を通じて数々のアイデア料理を発信。著書に『ド・レミの子守歌』 (中央公論新社)、『新版 平野レミの作って幸せ・食べて幸せ』(主婦の友社)、『家族の味』『おいしい子育て』(ともにポプラ社)など多数