後編では、レミさんの結婚観や2019年に亡くなった夫の和田誠さんとのエピソード、さらに「機嫌よくいられる秘訣」などを聞きました。

【前編】平野レミ 料理は愛「おいしい」の言葉で幸せに
【後編】平野レミ 私は私 誰かに好かれるための努力なんて不要 ←今ココ

平野レミさん
料理愛好家、シャンソン歌手。主婦として料理を作り続けた経験を生かし、NHK「平野レミの早わざレシピ」など、テレビや雑誌を通じて数々のアイデア料理を発信している


周りと比べないコツは、好きなことして楽しく暮らす

 自分と周りを比較して落ち込んでしまう人、多いわよね。私は若いときから、周りの人のことなんて気にならなかったの。人は人、私は私。周りは私に対して、しゃべり方がおかしいとかあれこれ言ったけれど、そんなの全然気にならなかったのよね。

 もしかしたらそれは、親の育て方によるのかもしれないですね。世間体など気にしない人でしたから、自由にのびのび育ててもらいました。あれもだめ、これもだめなんて言わず、愛でいっぱい包んでもらっていたから、周りの目も気にならない人間に育ったのかもしれないわね。それでも人生、ちゃんと生きられるのよね。

 今は、情報が多過ぎますよね。私が小さい頃は、今ほど情報なんてなかったから。SNSなども、あまり見過ぎないほうがいいのではないかな。さまざまな情報を見聞きしても、自分の考えをきちっと持ってないとね。

 人に迷惑をかけず、自分がやりたいことや好きなことができて楽しく暮らしていれば、自然と周りにいる人と自分を比べたりしなくなると思うんだけどな。

「自分がやりたいことや好きなことして、楽しく暮らしていればいいのよ」
「自分がやりたいことや好きなことして、楽しく暮らしていればいいのよ」

やりたいように、好きなように生きてきた

 独身だった頃、「結婚ってどんなものなんだろう?」と思って、結婚してみたくなったの。でも、いろいろな人を見ても、この人でもない、あの人でもない……と、ピンとこなくて。「一生独身のままかな」「私は結婚に向いていないのかも」なんて思っていたの。

 だからといって、結婚相手を探すために何かしたわけでもない。だって、私は私だもの。相手に合わせようとか、気に入られるために努力しようなんてしない。やりたいように、好きなように生きていたのよ。そうしたら、私と似たような価値観を持っていた和田さん(夫でイラストレーターの和田誠さん)と出会って、結婚できちゃった。ぴったりな人って現れるものなのよね。

 一生独身のままかもしれないと思ったときも、何も悩まなかったな。努力もしなかったし、常に「私は私」と思ってやりたいように生きてきたの。

 婚活は、努力してまでやらなくてもいいんじゃないかしら。誰かのために自分を磨く必要も、ないと思う。好きなことをするのが、一番の自分磨き。好きなことは楽しいから、努力しないでも自然にできてしまうでしょう? それでいいの。嫌な言葉だよね、努力って(笑)。

 「結婚したいけれど、なかなか合う人に出会えない」なんて思い悩むこともないのよ。好きなことをして、楽しく生きていたら、きっといい人に出会えると思う。だって、くよくよ悩んでいたって良いことなんて一つもないと思わない?