人の数だけ悩みもある。どんなに年を重ねても、悩みの種は尽きません。あなたの悩みに寄り添う連載、今回は20代女性の「将来の夢を父が反対する」というお悩みです。心理カウンセラーの石原加受子さんに回答していただきました。

【前編】「将来の夢を猛反対」心配な父と夢追いたい娘 解決策は ←今ココ
【後編】親子であっても他人さま 感謝の気持ち持てば自立できる

将来の夢、父に認めてもらいたいのに

 大阪に住む26歳の沙織さん(仮名)には、夢がある。海外のとある国に移住するという夢だ。きっかけは大学生の頃。ゼミの一環で訪れたその場所に、すっかり魅了されてしまったという。

写真はイメージ/PIXTA
写真はイメージ/PIXTA

 「緑豊かな場所で、穏やかな人ばかり。日本から移住している人も多く、話を聞き刺激を受けました。古くから伝わる土地の風習やお祭りの文化にも引かれました。大学を卒業したら、本格的に移住しようと思っていたんです」

 しかし、夢は一度砕かれてしまった。父が猛反対したのである。「安定した仕事に就きなさい」という父に対して最初は反発心が芽生えたものの、「心配する気持ちもよく分かるし、確かに将来の安定は欲しい」と、東京の金融系企業に就職した。

 だが、昨年の冬に一身上の都合で退職。今は大阪の実家で充電中だ。そんな沙織さんは、かつての移住したいという夢が諦めきれないと言う。

 「コロナ禍になり一度は諦めたけれど、どうしても移住したい。当面生活していく分の貯金もあるし、下調べや計画も立てていて、あとは行くだけ……なのですが、父が反対していて。もちろん、もう大人なのだから自分のやりたいことをやっていいとは分かっています。けれど、やっぱり私は父に納得してもらいたいんです」

 父以外の家族はみんな、沙織さんの夢に賛成だ。父との関係は、悪くないほうだと思う。しかしなかなか父の理解は得られない。あらゆる方向から説得する手立てを考えて、実践する日々を送る沙織さん。しかし、父は首を縦に振ってくれそうにもない。

 「早く移住したいです。夢をかなえたい気持ちは強くあります。でもそれと同じくらい、父に理解してもらいたい思いも強いんです」

心理カウンセラーの石原加受子さんに聞いてみた

 そこで今回は、親子問題に詳しい心理カウンセラーの石原加受子さんにアドバイスを聞きました。

石原加受子(いしはら・かずこ)さん
心理カウンセラー。心理相談研究所「オールイズワン」代表。「自分を愛し、自分を開放し、もっと楽に生きる」ことを目指す「自分中心心理学」を提唱。仕事や家族、人間関係に悩む人に向けたセミナーやカウンセリングなどを30年続けている。「『また断れなかった…』がなくなる本」(河出書房新社)、「感情はコントロールしなくていい『ネガティブな気持ち』を味方にする方法」(日本実業出版社)など著書多数