人の数だけ悩みもある。どんなに年を重ねても、悩みの種は尽きません。あなたの悩みに寄り添う連載、今回は20代女性の「結婚も出産もせず、自分のためだけに時間を使っているのが後ろめたい」というお悩みです。タレントのホラン千秋さんに回答していただきました。

【前編】ホラン千秋が回答「自分だけに時間を使ってはだめ?」 ←今ここ
【後編】ホラン千秋 芽が出ず悩んだ20代、自ら吹っ切り転機へ

「田舎の閉塞感」から抜け出したかった

 「結婚も出産もせず、自分のためだけに時間を使っているのを、申し訳ないと思うときがあります」。そう話すのは、田中優花さん(仮名、24歳)。名古屋市内にある人材派遣会社で、営業の仕事をしている。まだ24歳。なぜそう思うのだろう。

 生まれたのは九州のとある県。緑に囲まれた自然豊かで静かな町――と言えば聞こえがいいが、「見渡す限り、自然しかなかったです」と優花さん。一番近い大手ショッピングセンターまで行くのに、車で1時間ほどかかる。ほかに、これといって遊びに行くところはない。

写真はイメージ
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 「娯楽施設が少ないからか、周りの大人たちは『噂話が好き』な人が多い印象でした。その噂が事実でも、そうでなくても、噂話をすること自体が好きというか」

 小さな町では、大半の住民が顔見知りだ。何をしても、たちまち周囲に知れ渡ってしまう。特に優花さんが理解できなかったのは、子どもが何か目立った行動を起こすと、子ども本人ではなく、まず母親がやり玉に挙げられること。母親の育て方が悪いのね、と噂されることもよく耳にした。

 そんな地元に閉塞感を抱いていた優花さんは、高校を卒業した後に福岡県の短大へ進学する。「とにかく地元を出たい一心でした。人に干渉される生活から、離れたかったですね。もちろん、東京へ行きたいという憧れはとても強くありました。けれど、いきなり東京へ行くのは少し怖くもあって」

 その後短大を卒業し、東京に本社がある求人広告関連の会社へ営業職として就職。念願の東京暮らしに、心が躍った。けれど蓋を開けてみると、勤務地はなんと東京ではなく隣の県にある支社。都内へは電車で何度か乗り換えをし、2時間近くかかる。

 「東京で働けると思っていたので、本当に落胆しました。勤務地が東京ではないと知ったのは、内定が出て引っ越す間近のこと。なぜ内定を辞退しなかったかと言えば、その勤務地がどんな雰囲気の土地かも分からなかったから。働き始めれば気持ちも変わっていくだろうと思っていましたし、なにより新生活のワクワク感のほうが勝っていましたね」

 しかし、慣れない土地での営業はこたえた。飛び込みの営業も多く、小さな店舗が立ち並ぶ地域を任されていた優花さんは、なかなか思うように数字が獲れず苦戦。同期は早々に退職してしまい、心の支えになる人はいない。でも地元には戻りたくない――。

 優花さんはだんだんと気持ちが塞ぎ込み、鬱々とした毎日を送るようになる。そんなとき、ふと地元の同級生のSNS投稿を目にしてしまった。それを見て、優花さんはさらにやりきれない気持ちになる