周囲の結婚ラッシュ「同じようにしないとダメかな」

 小さい頃、将来は「大学を卒業して就職をして、24歳にお付き合いを始めた彼氏と25歳に結婚をして、26歳で子どもを産む」ものだと思っていた。けれど、それは「自分がなりたい未来」ではなく、「周りの大人がそうしていたから」。その26歳を過ぎた今、ふと思う。「結婚ってしなきゃいけないものだっけ?

 地元の同級生たちには、20代半ばを過ぎた頃から「結婚・出産ラッシュ」が到来した。数多くの結婚式に招待されたし、SNSで同級生の結婚を知ることも多い。そんなとき、志穂さんは「私もみんなと同じように、結婚したほうがいいのかな」という気持ちにおそわれる。

「私も『みんなと同じように』結婚したほうがいいのかな」 (写真はイメージ)
「私も『みんなと同じように』結婚したほうがいいのかな」 (写真はイメージ)

「結婚」に、どんなメリットがあるの?

 友人たちと会うのは楽しい。コロナ禍で会える機会は減ったけれど、それでも会いたいと思える人たちだ。すでに結婚している人もいて、志穂さんは「彼女たちは、なぜそんなにすんなりと『結婚』を選択できたのだろう」と不思議に思う。「私には、『女性なら、当たり前のように結婚して出産する』という人生が、ピンとこないんです」

 そんな友人たちからは、「付き合っている彼とは、いつ結婚するの?」と聞かれることもある。もちろん、志穂さんは「結婚するなら、今付き合っている彼」だと思っている。このコロナ禍に、たくさんの人が登録しているマッチングアプリの中から出会い、一緒に暮らすまでになった人だ。こんなに相性のよい人は、もう探しても出会えないのでは、とさえ思う。

 けれど「結婚」となると、躊躇(ちゅうちょ)してしまう。何かきっかけがあれば踏み出せるのかもしれない、とも思うけれど、何より「結婚に、どんなメリットがあるのか?」と考えてしまう。

 子どもを持つにはタイムリミットがあることも分かっている。子どもを持てば、自由な時間も減るだろう。生活も一変するはずだ。志穂さんは、「20代は自由を謳歌したい」とも思うし、「思い描いていた母親像になれる自信がない」。だから今はまだ、必ず子どもが持ちたいとは思えない。しかも今は人生100年時代、まだまだ人生はこの先も続くのだ。なのに、どうして決断するタイミングはこんなに早いの?

 友人たちから「いつ結婚するの?」と聞かれて、今は「そのうちね」と濁す志穂さん。けれど次第に「いつ結婚するの?」は、「なんで結婚しないの?」に変わっていく予感もしている。そう考えると、気持ちがどんよりしてくる。

 「『結婚自体にあまり関心がない』だなんて、その場の空気を壊しちゃいそうで、言い出せないんですよね。でもなぜ、結婚しない『理由』、結婚したくない『理由』と、『理由』を言わなければいけないのかな。何を言ってもそれが『言い訳』に聞こえてしまいそうで、モヤっとするんです」

ぼる塾 田辺さんに聞いてみた

 そこで今回は、お笑いカルテット「ぼる塾」の田辺智加さんに話を聞いた。

田辺智加さん
田辺智加さん
1983年、千葉県生まれ。きりやはるか、あんり、酒寄希望とともにお笑いカルテット・ぼる塾を2019年に結成。田辺さんの決めセリフ「まぁね~」は、2020年の新語・流行語大賞にノミネートされた

 田辺さんは現在37歳。独身だ。今回のお悩み相談者と同じように、「いつ結婚するの?」と聞いてくる友人はいたのだそう。その友人とは「一緒にいるのが、だんだんしんどくなってしまった」と話す田辺さん。どのように対処したか、結婚観についても語ってくれた。