前編では、「若手社員との会話のラリーが続かない」というお悩みに対して、ウィズグループ 代表の奥田浩美さんにアドバイスを聞きました。後編では、「世代間ギャップの解消法」や、「人と会話が続かない」「職場の雰囲気を良くして、気持ちよく働きたい」人におすすめの、あるルールを教えてもらいました。

【前編】若手社員と会話のラリーが続かない 39歳管理職の悩み
【後編】奥田浩美 世代ギャップはない アンテナ鈍っているだけ ←今ココ

奥田浩美さん
ウィズグループ 代表取締役。ムンバイ大学(在学時:インド国立ボンベイ大学) 大学院社会福祉課程修了。1991年にIT特化のカンファレンス事業を起業。2001年に「ウィズグループ」を設立。2013年には過疎地に「たからのやま」を創業し、地域の社会課題に対しITで何ができるかを検証する事業を開始。著書に『会社を辞めないという選択』(日経BP)ほか多数


違和感はアンコンシャス・バイアスに気づくチャンス

 人と話していて、何か違和感を抱くような話題が出たとき、「世代」や「性別」、「出身地」などといった「主語の大きい区分け」をして「◯◯だから違うんだ」といった言い訳に逃げないことが大切だと思います。「若い世代は」「女だから」「男だから」と、世代の差や性別の差よりも、人間には「個人差がある」ことを念頭に置いて、個々に向かい合ってほしいですね。

 人間は一人ひとり、育った環境も、関心のあること、ないこともみな違います。私が心がけているのは、どんなに相手の話の内容に関心が持てなくても、同意できなくても、「否定せず、自分の中にある辞書の1ページに加えておく」ということ。辞書って、今必要な情報はその中に1ページしかなくても、ほかの情報も必要になるときが来るからと手元に置いておきますよね。それくらいの気持ちで、自分の中の辞書の最終ページに加えておくんです。

 今回、「若手社員と会話のラリーが続かない 39歳管理職の悩み」で相談いただいた安田さんは「初対面で会った相手と食事をしているとき、開始早々に性にオープンな話をして面食らってしまった」ことに対して、「世代の差なのかな」と言っていますよね。このときも、「世代の差」で片付けてしまうのではなく、「私の生まれ育った環境では、あまり性に対してオープンに人と話すことはなかったけれど、初対面でもそういった話をする人もいるのね」と、自分の中の辞書に加えておく。自分一人だけが年代が違ったからといって、「分かる」「そうだよね」と無理に合わせる必要なんてないんです

 けれど、「世代が違う」と思ってしまったときは良いチャンスです。「自分は『世代』を理由に何でも遠ざけてしまっていないかな?」という気づきになります。そして、「これは、アンコンシャス・バイアス(自分自身が気づいていないものの見方や捉え方のゆがみ・偏り)なんじゃないかな」と気づくことが大切。違和感を抱いたということは、自分の中のバイアスを浮き出してくれる場だったんだと思います。

 それでも苦手なジャンルの話だと思ったら、聞きたくないなら距離を置く。「私はその話が苦手なだけで、決して話をしている人のことが苦手なのではない」と、区別をしたほうがいいですね。

 私は、「イマドキの若い人は」「若い世代は」という言葉をほとんど言いません。それは相手に迎合しているのではなく、言い訳にしているような気がするから。「世代が違う」と言うのは簡単だけれど、でもそれは、一人ひとりの個人として相手と丁寧に向き合っていない証拠でもあると思うんです。

 読者の中にも、同じように「人と会話が続かない」「職場の雰囲気を良くして、気持ちよく働きたい」と思う人もいるでしょう。そこで、1つおすすめしたい方法があります。