「いい加減」な妥協ではなく「譲り合う」妥協を

 仕事もプライベートも、自分の掲げる目標を妥協したくない。完璧を求めるあまり、ついかたくなになりがちだ。作品の中で真莉がそうだったように、水川さんが仕事において妥協したくない点はどこだろうか。

「いいかげんな『妥協』はしたくないんです」
「いいかげんな『妥協』はしたくないんです」

 「『妥協』という言葉には、少しネガティブなイメージがあるけれど、捉え方一つで変わってくる気がします。例えば作品をより良いものにしていくとき。役を演じ体現するのは私だけれど、でもその役は私一人だけのものではないんですよね。作品に携わる、すべての人のもの。

 監督が求めるものと、私が思い描いていたものが違ったときは妥協することもある。けれどその妥協は、あくまで『ポジティブな妥協』で、『諦める』のではなく、『譲り合う』という言葉が近いかもしれません。

 『これくらいでいいかな』といった、『いいかげんな妥協』はしたくないですね。もっとより良いものに変えていけるような『妥協点』を見つけること。それが大事だと思っています」

より良いものに変えていけるような『妥協点』を見つけるのは、大事だと思います
より良いものに変えていけるような『妥協点』を見つけるのは、大事だと思います

取材・文/尾崎悠子(日経xwoman doors)写真/小野さやか スタイリスト/番場直美 ヘアメイク/星野加奈子