「ギャルメイク」が自信をくれた

 私はずっと、自分が嫌いでした。自分の顔がどうしても好きになれず、自信が持てなかったんです。しかも極度の人見知り。そんな私に自信をくれたのが、「ギャルメイク」でした。髪を目立つ色に染め、カラーコンタクトをし、つけまつ毛を付け、キラキラしたネイルをする。そうやって少しずつ積み重ね、自分に自信が持てるようになっていました。

 ギャル系のファッションを紹介していた女性誌『Ranzuki』の専属モデルになったのは、17歳のとき。雑誌のメイク特集を見ながら自分の顔で何度も練習し、擦り切れるほど読み込んでいた私に、「いっそのこと、あなたがモデルになったらどう?」と勧めてくれたのは母でした。

 モデルになるために、少々過酷とも言えるダイエットをし、寝る間を惜しんでメイクの練習やスタイリングの勉強をして――。そうやってコツコツと努力に努力を重ねた結果、専属モデルに選ばれた日のうれしさは、今でも鮮明に覚えています。

「自分に自信を付けてくれたのは『ギャルメイク』でした」
「自分に自信を付けてくれたのは『ギャルメイク』でした」

 専属モデルになって1年ほどたったとき、『Ranzuki』はそれまでのギャル路線から、大幅に方向性をリニューアル。薄めのメイクに、おとなしめの髪色といった「清楚(せいそ)系のかわいい女の子」がターゲットになりました。自分のキャラクターとの違いを実感しつつも「このままモデルとして生き残りたい」と思った私は、ナチュラルメイクをし、髪色も暗めの色に染めて。新しい雑誌の方向性に添う努力をしたものの、日に日に増すのは違和感ばかりでした。

 その間ずっと、「私が好きなギャルとは、いったいどんなギャルなんだろう」と考えていました。自分らしさってなんだろう、と。そして、さまざまな路線の服装やメイクに挑戦したり、試行錯誤したりするなかで、たどり着いたのは「ギャル」×「アメカジ」というジャンルでした。

 やっぱり自分は「ギャル」が大好き。ギャルじゃない私なんて、私じゃない。そして、昔からずっと着ていた古着の「アメカジ」も大好き。大好きなもの同士を掛け合わせてみたら、すごく自分にハマったんです。ようやく、これが「自分らしさ」なんだと気づきました。

 よく、「帽子が似合うよね」と言われることがあります。でもそれは単に、私がいつも帽子をかぶっているから。人は、「いつも帽子をかぶっている=似合う」という印象を持ってくれる。例えばピンク色が好きで、似合っていなくてもずっと着続けていたら、「いつもピンク色の服を着ている人」と印象付けられる。

 そうやって、好きなことはどんどん「自分のモノにしていく」といいんじゃないかな。みんな、「似合っているか、いないか」なんて、他人からの目を気にし過ぎです。自分が着たい服を着ればいいし、したいメイクをすればいい。似合わないと思っても、自分はその服が好きならばどんどん着て、周りに見慣れてもらえばいいんです。だって、私たちは「他人のために生きている」のではなく、「自分のために生きている」んだから。

「『他人受け』を気にするより、『自分受け』が大事!」
「『他人受け』を気にするより、『自分受け』が大事!」
読むと元気が出る一冊。『いずれ死ぬ身、ド派手に生きろ』(KADOKAWA)
読むと元気が出る一冊。『いずれ死ぬ身、ド派手に生きろ』(KADOKAWA)

 後編では、周囲から「遊び人」だと勘違いされてしまう派手めな見た目ながらも、それを逆手に取った発想と、もともとネガティブ思考だったという彼女のマイルールを聞きました。引き続き【後編】もお読みください。

取材・文/尾崎悠子(日経xwoman doors)写真/稲垣純也 イメージ写真/PIXTA

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