前編では、「ロールモデルがいない」というお悩みに対して、俳優の黒木華さんにアドバイスを頂きました。後編では、「自分の意見を伝える方法」や「新しい時代の価値観」についての話も聞きました。

【前編】黒木華 ロールモデルは自分でいい 楽に生きるのが一番
【後編】黒木華 価値観は人それぞれ、意見を言う大切さを実感 ←今ココ

 Amazon Prime Videoにて配信中の『僕の姉ちゃん』で、少し辛口な姉のちはるを演じた俳優の黒木華さん。ドラマは、姉ちゃんが新米サラリーマンの弟に、人生や恋などさまざまなアドバイスをしながら本音トークを繰り広げるストーリー。姉ちゃんの発する言葉には思わず「分かる!」と共感してしまうし、自分の気持ちに真っすぐなさまに、胸を突かれることも。

 今回は、姉ちゃんを演じた黒木華さんに、「自分の意見を伝える方法」や「新しい時代の価値観」について話を聞きました。

黒木華(くろき はる)さん
1990年、大阪府出身。俳優。NODA・MAP番外公演「表に出ろいっ!」(2010年)のヒロインオーディションに合格し、本格的にデビュー。「東京オアシス」(2011年)で映画デビュー。2014年の第64回ベルリン国際映画祭では最優秀女優賞を受賞した。Amazon Prime Videoにて配信中のドラマ『僕の姉ちゃん』では、姉の白井ちはるを演じる。今後の待機作に、映画「ノイズ」(2022年1月28日(金)公開)、舞台「もはやしずか」(2022年4月上演)がある


「自分自身が納得」して演技がしたい

 この記事を読んでいる方の中には、上司やリーダーに「自分の意見がなかなか言えない」という人もいると思います。

 私も10代や20代の頃は、先輩たちや監督、演出家さんの発する言葉は、とても大きくて重いものに感じていました。「必ず守らねばならないもの」だと思っていたんです。その当時は、自分には別の意見があっても、言われた通りにこなしていたこともあります。

「『良い作品をつくるために、自分の意見を言う』。10代や20代の頃はなかなか言えませんでしたが、年齢を重ねてきた今、ようやく言えるようになってきたと思います」(黒木さん)
「『良い作品をつくるために、自分の意見を言う』。10代や20代の頃はなかなか言えませんでしたが、年齢を重ねてきた今、ようやく言えるようになってきたと思います」(黒木さん)

 けれど、だんだんと歳を重ねてきた今、「もっと、より良い作品をつくりたいから、自分からも積極的に意見を言おう」と思うようになって。もちろん、今までも良い作品をつくりたいと思って仕事に臨んできましたが、「良い作品をつくるには、互いの意見をきちんと話し合うことが大事」だと気づき、最近ようやくできるようになってきたな、と感じます。

 作品をつくる上で、演出やセリフなどどうしても変えられないものもあります。けれど、それでも話し合った上で、「自分自身が納得する」ことは、とても大事だなと思います。自分自身が納得すると、できることはさらに増えますから。反対に、自分自身が納得できていないことは、きちんとこなせないと思うんですよね。

 最近では、監督の演出に疑問を持ったとき、「なぜそうしたいのか」を聞くようにしています。納得できないまま、もやもやしたものを抱えながら演技したら、いい仕上がりにならないんじゃないかと思って。