30代前半で更年期症状 そして、うつに

 「ホルモン治療を始めて月経を止める=人工的な閉経状態にしたことで、30代前半なのに、更年期症状のホットフラッシュが出てしまったんです。猛暑日でもないのに、急に汗が噴き出して、ポタポタとしたたり落ち……。着ているブラウスが、水をかけられたようにびっしょり濡れることもしょっちゅう」

「そのうち、外出するのが嫌になって、人に会いたくなくなり、仕事に対する意欲もなくなって、メンタルがかなり不安定になりました」
「そのうち、外出するのが嫌になって、人に会いたくなくなり、仕事に対する意欲もなくなって、メンタルがかなり不安定になりました」

 「きっと、月経を止めたことで、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減って、それに比例して幸せホルモンと言われるセロトニンの分泌も減ってしまったようで。そうなると、うつ状態になりやすいと言われているとおり、何度も『死にたい』という気持ちになりました」

 そんな失意のどん底にいた岸さんを支え続けたのが、夫だった。

 「夫が、『ホルモン療法は健康を取り戻して、子どもを授かるという明るい未来に向けての治療なんだよ』と言い続けてくれたおかげで、死にたいというのは独りよがりだと気づけました」。

 ただ、当時は自分自身を保つのが精いっぱいで、細かい記憶があまりないという。あったのは「この闘病体験を何かの形にしないといけない」という思いだけ。岸さんは、無我夢中で病気について詳しく調べるようになった。