病気の原因を調べて衝撃を受け、使命感を抱く

 「今や、子宮内膜症は月経がある女性の7人に1人がなると言われるほどメジャーな病気ですが、昭和初期には非常に珍しい病気だったんですね。罹患率が上がった大きな要因は、生涯月経回数が増えたこと。

 月経があるのは自然で健康の証であるいっぽう、回数が増えることは、それだけ月経に関するトラブルや病気も増えることを意味します。現代女性は、出産回数が少なく、月経が止まる期間も少ないため、昔の女性に比べると格段に生涯月経回数が多いんです。その差は9倍といわれています。

 だから、罹患率が上がっているんだ、という事実にものすごく衝撃を受けました。同時に、現代女性みんなが抱えているこのリスクについて、一人でも多くの人に広めて、リスクマネジメントできるようにしなくては! と思いました」

 その思いを結実させて、32歳のときNPO法人日本ホリスティックビューティ協会を設立した。実は、設立当時も闘病中で、卵巣と腸の癒着をはがすために6時間に及ぶ手術も受けたが、「とにかく、早くみんなに伝えたい!」という使命感に似た思いが原動力になっていた。

「使命感だけで動いていた気がします」
「使命感だけで動いていた気がします」

 そして3年後の35歳のとき、子宮内膜症を克服。「妊娠は難しい」と言われていたが、念願叶って女児を出産することができた。

 だが、半年後、今度は娘が思いも寄らぬ診断を下されてしまったのだ。 後編「岸紅子 娘の闘病を経て『人生で感謝する回数が増えた』」に続く。

取材・文/茅島奈緒深 写真/洞澤佐智子