講演は多いときは年間120本もこなし、1000人規模の会場で登壇したこともある。最近は、移動や喉の調子を維持する大変さから、年間80本ぐらいにセーブしているが、アンケートに書かれる感想は、「楽しかった」「面白かった」「参考になった」といううれしい声ばかりだ。また、諏訪さんが講演で話したノウハウを取り入れた中小企業からの声も続々届くようになった。

「これも、ボロクソに書かれたアンケートのおかげ。フィードバックには、勉強になることがたくさんあります」
「これも、ボロクソに書かれたアンケートのおかげ。フィードバックには、勉強になることがたくさんあります」

バイト活動が、まさか生きるとは!

 でもいったい、プロの講演家でもないのに、なぜエンターテインメント化しよう、と思えたのだろうか。その背景には、主婦のときにアナウンス専門学校のブライダル司会コースに半年通っていた経験が隠れている。司会業は子どものときからの夢で、主婦をしながら、休日に細々と披露宴で司会をしていた時期があったのだ。

 「披露宴では、新郎新婦や親族を司会で3回泣かせたら、感動的ないい式に貢献できた証。それが司会者の醍醐味なんです。それを踏まえて、私の講演は1回泣かせて、2回笑わせようと思いついて! アナウンス専門学校に通ったことが、まさかこんな形で役立つとはね(笑)。何がどこでどういうふうに役に立つか、本当に分からないものです。人生に無駄はありませんね

 でも、「ステージに立って話をするのは、『社長スイッチ』を入れているからできること」だと言う諏訪さん。「社長というよろいを着ていると、何でもできる。でも、そのよろいを脱ぐと何もできないんです、私。家では話し方もおっとりしてるし、基本、聞き役なんですよ」