若いときに夢なんてなくていい!
2017年、諏訪さんは45歳のときに私財をつぎ込み、新たな会社「リスタ・プロダクツ」を立ち上げ、ソフトウェアベンダーのテクノア(岐阜県・岐阜市)と共同で、中小企業が社内のコミュニケーションで使うことができる中小製造業向けクラウド型コミュニケーションツール「Lista/リスタ」を開発した。
「一度、自分自身で事業をゼロからつくってみたかったんです。これから中小企業の事業承継がどんどん進み、2代目3代目が増えてくる。次の課題は、そうした人材が新しい事業を自ら起こせるかどうかだと思うんですよね。既に経営に携わっている人間が新しい事業をつくったり、起業したりするほうがリスクも少ないですし。少子高齢化の日本にとっても、人材を循環させることができてメリットがある。これからもっと勉強して、中小企業の経営者の起業支援サービスにつなげていきたいと思っています」
「志半ばで諦めた資格の勉強も、下手の横好きと言われる趣味も、ちゃんと回収できた」と振り返る諏訪さん。
「若いときに夢なんてなくて平気! 私はなかったもん。夢は後からついてくるというか。無理やりつくってそれにしばられて苦しむ必要もない。どんな経験も捨てないでほしいですね。数年後、数十年後にも、花が開くチャンスは来ます。だから、小さな経験も大切にしまっておいたほうがいいと思うんです」
取材・文/茅島奈緒深 写真/洞澤佐智子