やりたくないことはやらない、わがままな新人時代

 「大学1年の後半から始めた居酒屋のアルバイトがすごく楽しくて。自分は接客業に向いていると気づき、将来はサービス業の最高峰を目指そうと思いました」

 そこで、一流ホテルとして名高いリッツカールトンのホスピタリティーについて書かれた本を熟読。感銘を受け、リッツカールトンを就職先の第一希望に定めたが、中途採用のみと聞き、断念した。次に目指したのは、同じく高度な接客スキルが求められるウエディング業界。

 関連企業を端から受け、最終的に大手ウエディング会社にウエディングプランナーとして入社したが、早くも新人研修でつまずいてしまう

 「研修ではロールプレイング(模擬接客、以下ロープレ)でマナーやトークスクリプト(顧客に対して話す内容や順番を決めた台本)を身に付けていきます。大事だと分かってはいましたが、『できません』と言い張っていました。人前でロープレをするのが恥ずかし過ぎて、どうしてもできなかったんです。ペンを売る練習では、『これ、ブラッド・ピットも使っているのにこんなに安いんです、やばくないですか?』というふうに、わざとちゃかしてごまかしていました」

「上司や先輩の間では『有名大学出身のくせにダメな新人』と言われていました。自分もなにかと不貞腐れて子どもだったなぁと思うけど、いつも大学名を引き合いに出されるのは嫌だった」
「上司や先輩の間では『有名大学出身のくせにダメな新人』と言われていました。自分もなにかと不貞腐れて子どもだったなぁと思うけど、いつも大学名を引き合いに出されるのは嫌だった」

 当然、上司からは「とても接客させられない」と非難されたが小林さんは態度を改めなかった。「演技じゃなくて、本番ならちゃんとできるのに」と悔しさを募らせ、帰宅後は1人でロープレ練習を重ね、昼間は成績のいい先輩について回り、トークをまねることで接客術を学んでいった。

 人に見せない努力が実り、小林さんは初接客で成約を獲得。その後も成約率を上げ続け、周囲の見る目が変わってきた。ところが、「今振り返ると、このときの仕事の仕方が失敗だったと思う」と話す。