何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで…「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、漫画『るり色プリンセス』『神様の言うとおり!』、小説『時の輝き』などで知られる少女漫画家、作家の折原みとさん(58歳)の失敗図鑑(上編)です。

(上)折原みと 仕事のし過ぎで創作意欲を失いかけた ←今回はここ
(下)折原みと カフェ経営で失敗 やっぱり私は漫画家

漫画家デビュー直後から売れっ子に

 湘南の高台にある閑静な住宅街。相模湾や江の島を眼下に、晴れた日は富士山を見渡せるその一角に、折原みとさんの自宅兼仕事場がある。折原さんは、少女漫画家・作家としてデビュー30周年を過ぎた今も、女性誌で漫画の連載を持ち、年間3冊以上のペースで小説やエッセーを発表。音楽活動や絵本などの児童書も手掛け、その活動は多岐にわたる。

 子どもの頃から漫画やイラストに親しんできた折原さんは、21歳のときに趣味で描いた同人誌(同じ趣味を持つ人が個人で執筆、制作する本)が編集者の目に留まり、プロデビューが決定。以来、あっという間に多数の漫画雑誌で連載を抱える売れっ子作家として知られるようになった。

 その2年後には、他の作家による小説の挿絵を担当したことをきっかけに、児童小説や少女小説に挑戦、小説家としてデビューすると、ティーンエージャーの女子を中心に多くの支持を集めた。25歳のときに発表した『時の輝き』(講談社X文庫ティーンズハート)はベストセラーとなり、のちに映画化され、少女小説家としても存在感を高めていった。

現在、「週刊女性」(主婦と生活社)で連載中の漫画『孤独なあなたの愛し方~美智子さまが教えてくれた幸せの法則』の原稿。デビュー以来、ずっとアナログで執筆しており、今は仕上げのときだけアシスタントに来てもらうそう。小説もすべて手書きで執筆している。
現在、「週刊女性」(主婦と生活社)で連載中の漫画『孤独なあなたの愛し方~美智子さまが教えてくれた幸せの法則』の原稿。デビュー以来、ずっとアナログで執筆しており、今は仕上げのときだけアシスタントに来てもらうそう。小説もすべて手書きで執筆している。

 折原さんは「デビュー直後から、ありがたいことにたくさんの仕事に恵まれて。仕事に関してはとても順調でした。読者さんに求められていると感じたときは、とてもうれしくて、次々と仕事を引き受けていました。ただ、今振り返ると、それが20代の一番の失敗だったと思います」と話す。