何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで…「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、完全オーダーメイドウエディングブランド「CRAZY WEDDING」の創業者で現在は実業家として活躍する山川咲さん(38歳)の失敗図鑑(上編)です。

(上)CRAZY WEDDING創業 山川咲 激務のすえ流産 ←今回はここ
(下)山川咲 注目度が高まりメンタル限界に 夫婦経営も失敗

変化し続けている自分が好き

 28歳のときに完全オーダーメイドウエディングブランド「CRAZY WEDDING」を創業し、業界に革命を起こした山川咲さん。TBSのドキュメンタリー番組「情熱大陸」に出演するなど、その活躍は大きな注目を集めた。

 昨年、情熱をささげて取り組んできたCRAZY WEDDINGの役員を退任。現在はセカンドホームサービス「SANU(サヌ)」のボードメンバー、4人の起業家が創立する高等教育機関「神山まるごと高専」のクリエィティブディレクターとして新たな活動をスタートさせた。

 38歳での異業種への挑戦について、山川さんは「今までと違うことをしているといった感覚はない」と話す。

 「CRAZY WEDDINGは、業界が抱いていた課題を、理想に沿って解決したいと思って立ち上げました。SANUの不動産に関わる事業も神山まるごと高専の教育事業も、分野は違いますが、課題を解決するための事業であるのは同じ。CRAZY WEDDING同様、今まで『これが普通』とされてきたことを見直して、より良い変化を起こしていきたい。専門家ではないからこそ、新たな視点からできる提案がある。ずっと同じことをしているより、変化し続けている自分を感じられるほうが好きなんです」

 山川さんの大きな笑顔からは、毎日が充実している様子がうかがえる。しかし、心から笑えるようになるまでには、20代と30代で経験した「価値観を変える大きな失敗」があった。