起業に迷いはなかった
そこで仁香さんは、接骨院を経営していた父親に習い、自分も健康産業での起業を決意。当時注目を集め始めていたゲルマニウム温浴サロンをオープンした。体形は変わらぬままだったが、起業したことでかなり気持ちが楽になったという。
「温浴サロンであれば、マンツーマンでの接客が不要でさほど人件費がかからないので、『これなら私にもできるかもしれない!』と思ったんです。小さい頃から自営業の父を見てきたので、経営に対してあまりネガティブなイメージがなく、迷いはありませんでした。モデルの仕事から離れたことで肩の荷が下ろせたというか、『太っていてもいいや』と自分を受け入れられるようになったんです」
父親のアドバイスも受けながら進めたサロン経営はすぐに軌道に乗り、2店舗目もオープン。「自分は商売の分野でもやっていけるかも」と自信を取り戻した頃、不思議なことに体重が減少し始めた。
あれほどダイエットに苦しみ、何をやっても成果が出なかったにもかかわらず、1年後には13kg減量、すっかり元の体形に戻っていた。自然にダイエットできた要因について、仁香さんはこう話す。
「サロンオープン後、節約も兼ねて自宅からサロンまで毎日30分ほど歩いて通勤し、それに加え、ゲルマニウム温浴の効果をデータにするために毎日入っていました。この2つが功を奏し、特に何もしなくても痩せたんです。これは後で知ったことなのですが、ウォーキングには『幸せホルモン』と呼ばれるセロトニンの分泌を促す効果があり、これが出ると痩せやすくなるそうです」
仁香さんはこのときようやく、自分が太った本当の原因について理解し、自分を見つめなおしたという。
取材・文/高橋奈巳(日経xwoman doors) 写真/洞澤佐智子
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