「うまくやろう」としたのが一番の失敗
「勉強なら好きだし、頑張れば結果が出るといった成功体験がありましたが、就職後、仕事の仕方が全く分からなくて。営業として既存顧客を担当していましたが、客先への訪問すら躊躇(ちゅうちょ)していました。何をしたらいいのかが分からないのに、先輩に聞くなどのコミュニケーションも苦手だったんです」
矢内さんは、自分なりに考え、金融知識を学び、工夫しながら業務に取り組んでいたが、3年目を迎えても営業成績は伸び悩んでいた。なかなか客先へのアプローチがうまくいかず、チームメンバーの前で上司から叱責を受けたこともあり、すっかり自信をなくしてしまった。
そこから新規開拓の担当を任せられると、矢内さんは、とにかくさまざまな客先を回り、熱意を伝えた。やがて、一生懸命な姿勢が客先に受け入れられ、気づけば続々と新規契約を獲得。4年目に入った頃は全国で7位の成績を収め、社内で表彰を受けた。
「3年目までは、自分の営業成績を受け止める余裕すらなく、いっぱいいっぱいで視野が狭くなっていました。今思えば、うまくやろうとするあまり、失敗を怖がり過ぎていたんです。そこで、ようやく先輩のサポートなどの行動を起こしたことで、自分に足りなかったのはコミュニケーションスキルだったと気づきました。
例えば、勉強なら、問題集をやっているうちに答えの導き方が分かってきますが、仕事は知識だけを増やしても成果につながらないのだと実感。それよりも顧客とたくさんコミュニケーションをとり、熱意を伝えることが大事だったのだと学びました」