何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで…「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は31歳で自己破産を経験し、現在はビジネスパーソン向けコーチングとコンサルティングを行っている矢内彩さん(32歳)の失敗図鑑(下編)です。

(上)矢内彩 メガバンク勤務するも30歳の壁 海外勤務断念
(下)矢内彩 31歳で自己破産は新たな一歩のための決断 ←今回はここ

31歳で自己破産を経験し、現在はビジネスパーソン向けコーチングとコンサルティングを行っている矢内彩さん
31歳で自己破産を経験し、現在はビジネスパーソン向けコーチングとコンサルティングを行っている矢内彩さん

自分の可能性を広げるため、28歳で副業開始

 新卒でメガバンクに入行し、営業として伸び悩んだ3年間を経て、キャリアを積んでいった矢内彩さん。異業種への出向などさまざまな刺激を受けつつも、30歳を見据えたとき、今後のキャリア、生き方に疑問を持つように。そこで新たな働き方を見つけるため、28歳で副業をスタート、就業時間以外は成果報酬型の営業代行として働き始めた。「副業でも生活に必要な額を稼げるようになったら退職する」と決めたが、副業開始から2カ月でその時がやって来た。

 「自分で裁量権を持って自由に動けるのが楽しかったですし、頑張った分=報酬として返ってくる点が自分に合っていました。銀行での経験は自分の成長につながり、ビジネスパーソンとして自信がつきましたが、この会社でしか仕事をできなくなるのが怖かった。自分の名前で仕事をしたい気持ちがいつもどこかにあったんです。夢中になって取り組むうちに、気づいたら開始2カ月で、副業でも自分に必要な収入を稼げるようになっていました」

 目標達成のためには努力を惜しまず、時間をかけて取り組んできた矢内さんだったが、退職を決めたのは早かった。自分の直感を信じ、今が独立のタイミングと考えた。

 「人生って自分のあるべき道が見えたら、即行動できると思うんです。もちろんフリーランスのリスクやメリット・デメリットも考えましたが、一番は感覚に従いました。頑張り次第で人生の可能性は広がると思うし、もし、可能性が広がらないのなら、それは自分のせい。私は自分自身を信じたかったんです」

 こうして29歳のときに、フリーランスの営業として独立を決めた。そこで退社の前に、万が一、収入が途絶えた場合のリスクヘッジとして不動産投資に関心を抱いた。しかし、このときの矢内さんは、この投資が後の自己破産につながるとは考えてもいなかった。

矢内彩さんの失敗年表