何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで…「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、ベンチャー企業の正社員、経済アナリスト、金融メディアでの業務と三足のわらじで活躍中の馬渕磨理子さん(38歳)の失敗図鑑(上編)です。

(上)馬渕磨理子 京大大学院修了後「就活全滅」で絶望 ←今回はここ
(下)馬渕磨理子 マネジメント挫折し得意分野に注力

スタートアップ企業の正社員、経済アナリスト、金融メディアでの業務と三足のわらじで活躍中の馬渕磨理子さん(38歳)
スタートアップ企業の正社員、経済アナリスト、金融メディアでの業務と三足のわらじで活躍中の馬渕磨理子さん(38歳)

金融の道は「無職」から逃げるように始まった

 現在、TVやラジオなどのメディアで多数のレギュラー番組を持つほか、コラム執筆や書籍出版など、マルチに活動している経済アナリストの馬渕磨理子さん。日本金融経済研究所の代表理事としての顔も持ち、多様な働き方を実践している。あるメディアでのPV数が半年間で6000万を超える「日本一バズるアナリスト」として注目されているが、今に至るまでにさまざまな失敗を重ねてきたのだとか。

 馬渕さんが金融の道へ進んだのは大学院を修了した27歳のとき。医療法人で資産運用の担当者としてキャリアをスタートし、その後トレーダー業務を担当。法人の資産運用を任され、マーケットの仕組みや動きを学んでいった。その2年後には紹介によりアナリスト業務に従事。徐々にコラム執筆やメディア露出の機会を増やし、数年後にレギュラー番組を持つまでに至った。

 「当時27歳と、社会に出るタイミングは遅いほうでしたが、周囲に恵まれました。自己完結してパフォーマンスを発揮するトレーダー業務からは正反対の位置にありますが、企業と投資家とのコミュニケーションを円滑にする『アナリスト』としての仕事につなげられたことは本当に感謝してもしきれません」

 豊富な実務経験をもとにした分かりやすい記事やトークは、数多くのメディアから引っ張りだこ。ところが、馬渕さんが「金融」の道を選んだきっかけは、無職と隣り合わせの苦境に陥ったときだった。