バンクーバーオリンピックで大失敗 失意のまま帰国

 先輩たちのように、スポーツ選手や監督たちと信頼関係を築くため、積極的に現場に足を運んだが、何を聞けばいいのか分からず、選手の言葉を引き出すことができなかった。先輩にさまざまな取材現場に同行させてもらったり、相談したりしたが、なかなか結果を出せない日々が続いた。

 「正直、アナウンサーは積極的に取材をしたり、人と関係性を築いたりする仕事だと思っていなかったんです。私はもともと人見知りで、人間関係においてはずっと受け身の姿勢でやってきたので、自分から進んで人と深く関わることがありませんでした。このままではまずいと思い、変わらなきゃ、と思いました

 そんなとき、秋元さんは2010年、バンクーバーオリンピックの現地キャスターの一人に抜てきされた。テレビ東京では唯一、女性キャスターとして派遣されたが、大会終了後、大きな挫折感を味わいながら帰国の途についた。

 「バンクーバーオリンピックでは、自分のインタビュー能力の低さを改めて突き付けられました。先輩には、『そんなことを聞いても仕方ない』と言われてしまい、他の人が考えた質問をすることもありました。今、振り返ると自分の言葉でインタビューできていないので、選手ともぎくしゃくしてしまったのではないかと思います。社内で『秋元は使えない』と言われてしまったこともあって、肩を落として帰国しました」

「バンクーバーでは他局の優秀なアナウンサーを見て、焦る気持ちもありました」
「バンクーバーでは他局の優秀なアナウンサーを見て、焦る気持ちもありました」