何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで…「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、元テレビ東京の人気アナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍している秋元玲奈さん(36歳)の失敗図鑑(上編)です。

(上)秋元玲奈「かわいくない新人」「使えない」経てエースへ ←今回はここ
(下)秋元玲奈 報道番組異動で2度目の挫折が成長の転機に

「原稿を正確に読む」だけではアナウンサー失格

 テレビ東京の人気アナウンサーとして約13年間、活躍してきた秋元玲奈さん。リオデジャネイロオリンピックのキャスターなどを担当後、結婚、出産を経て2021年に退職。現在はフリーアナウンサーとして活躍中で、年内には第2・3子となる双子を出産予定だ。

 「今は、家族との時間を大切にしながら、自分のペースで仕事ができることに感謝しています。精神的にも落ち着いていますし、現在の働き方は自分に合っていると思います」とほほ笑む。

 テレビ局のアナウンサーといえば、華やかで知的なイメージがあり、毎年志望者が殺到する人気職業。秋元さんも幼い頃から憧れ続け、学生時代には、アナウンサーになるためにプラスになる部活動や進学先を選んできたと話す。

 「物心ついたときから、話し好きな子どもだったので、テレビに映るニュースキャスターに憧れるように。キリッとニュースを読む姿をかっこいいと感じ、小学生の頃には『将来、ニュースキャスターになる』と決めていました。中高では演劇部に所属して発声を学び、アナウンサーを輩出している大学へ進学。ところが、大学1年生のときに入ったアナウンサー養成スクールでは、周囲との実力差にがく然とするばかりで、すぐにやめてしまったんです」

 自己流でアナウンス技術を学び、業界研究や面接対策をしながら就職活動を迎えたものの、志望していた民放キー局はすべて落ちてしまった。テレビ東京のみ、前回の面接から最終面接までの期間が空いていたため、その間に想定問答の練習や面接対策をしっかり行い、最終的に内定を獲得できた。

 しかし、秋元さんは「私はアナウンサーの仕事を本当に理解していなかったんです。原稿を正確に読めればいいと考えていたのですが、入社してすぐ、それだけでは現場で通用しないと痛感しました」と話す。

秋元玲奈さんの「失敗年表」