何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで……「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、外資系銀行に勤めながら、フィットネスビキニ界の女王として前人未到の結果を出し続けている安井友梨さん(36歳)の失敗図鑑(上編)です。

(上) フィットネスビキニ女王・安井友梨 女性初営業職で挫折 ←今回はここ
(下) 安井友梨 体脂肪率30%からアジア制覇 惨敗の学び

もともとは内向的でネガティブ思考

 鍛え上げられたプロポーションをはじめ、顔立ちやヘアスタイル、品格まで審査対象になるフィットネスビキニの女王、安井友梨さん。昨年は、オールジャパンビキニフィットネスで前人未到の5連覇を達成し、初のアジアチャンピオンにも輝いた。本業は外資系銀行の営業職で、前職は大手証券会社の営業職だった。

フィットネスビキニ界の女王・安井友梨さん。外資の銀行で働きながら前人未到の5連覇を達成した
フィットネスビキニ界の女王・安井友梨さん。外資の銀行で働きながら前人未到の5連覇を達成した

 いずれも、成績優秀者に選ばれるという輝かしいキャリアの持ち主で、どこをどう見ても失敗の気配はない。が、本人いわく「20代までは太っていて、性格は内向的でネガティブ。今、テレビなどで話せるのは、チャンピオンにふさわしい振る舞いをしなくてはいけない、というスイッチが入るからで、もともとは人の後ろに隠れるタイプだったんです」

 そんな自分を変えたくて、社会人2年目に、安井さんは「人生の扉」を開けようとした。

同期の男性を見て奮起し、営業職に手を上げる

 安井さんは名古屋の出身で、大学卒業後、大手証券会社に事務職で入社した。主な業務は営業職のサポートで、間接的とはいえ、お客さんとやり取りする楽しさを感じた。同時に「自分が営業だったらもっとこうするのに」という思いも芽生えていた。

 同期入社の営業男性の活躍にも刺激も受けた。入社直後から成績を伸ばしていち早く営業成績全国1位になった同期の営業職男性を見て、その活躍をまぶしく感じながらも、私にできないことはないんじゃない? と向こう気強く思ったりもした。

 「その向こう気が徐々に強くなって、自分にもきっとできるはず! と思ってしまったんです。

「身のほど知らずの野望で、家族からは『内向的で人と話すのが苦手なのに、営業が務まるの?』と心配されました。でも、内向的な自分を変えたいという思いがあったんです」
「身のほど知らずの野望で、家族からは『内向的で人と話すのが苦手なのに、営業が務まるの?』と心配されました。でも、内向的な自分を変えたいという思いがあったんです」

 会議などで一言発言するにも心臓がバクバクいって、膝が震え、隣の人に大丈夫? と心配されるタイプでしたから……。そんな自分を変えたい、という思いもベースにあって、直談判して営業職に異動するテストを受けさせてもらいました」