何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで……「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、外資系銀行に勤めながら、フィットネスビキニ界の女王として前人未到の結果を出し続けている安井友梨さん(36歳)の失敗図鑑(下編)です。

(上) フィットネスビキニ女王・安井友梨 女性初営業職で挫折
(下) 安井友梨 体脂肪率30%からアジア制覇 惨敗の学び ←今回はここ

 安井さんがダイエット目的でジムに入会したのは、2014年、30歳のとき。きっかけは、母がジムに入ってダイエットに成功したことだった。

 「168cmで80kgぐらいあった母が、半年で20kgも痩せたのを見て、同じ血が流れている私も、ジムに入れば痩せられるはずだ! と思ったんです」

 当時の体形は、173cmで約70kg、体脂肪率は30%超。ダイエットは、リンゴダイエットから糖質オフダイエットまで、高校時代からいろいろなダイエット法を試していたが、失敗を繰り返していた。30歳という節目の年こそ、絶対に成功させたい! という気持ちがふくらんだ。

 「トレーニングを始めるにあたって、トレーナーさんから目標をつくったほうがいい、と言われて、芸能人やモデルの方で目標になる人を探しました。でも、どんなに頑張っても彼女たちのようにはなれない(笑)という思いが先行して、画像を並べてもピンとこなかったんですよね……。

 それで、一般の方でダイエットに成功した人を探しているときに、主婦でフィットネスビキニで痩せた人の写真に目が留まったんです。フィットネスビキニという競技について調べたら、大会があることが分かり、これを目標にすれば、より高いモチベーションでトレーニングを続けられると思いました」

安井さんは身長173cmで、コロナ禍で大会がないオフの今は64kg。大会があるオンのときは52kgまで絞る。
安井さんは身長173cmで、コロナ禍で大会がないオフの今は64kg。大会があるオンのときは52kgまで絞る。

 そして、有言実行の安井さんは、10カ月後の2015年10月、30%以上あった体脂肪も10%に。人生で初めて腹筋が割れてシックスパックになったのだ。

 「私にも腹筋があったんだ! すごーい、すごーい」と喜び絶頂のうちに、日本ボディビル・フィットネス連盟主催の全日本選手権大会に出場し、総合優勝を果たした。

2015年、全日本選手権大会に出場し、初めて総合優勝したときの安井さん
2015年、全日本選手権大会に出場し、初めて総合優勝したときの安井さん

 とんとん拍子で目標を達成していくように見えるが、この後、安井さんは、逃げたくなるような経験をすることになる。