20代後半の口癖は「私には時間がないんです」

 「結婚当時の20代後半の私は、『30歳までになんとか結果を出さなくちゃ』という気持ちが強く、短距離走で飛ばしていました。人生も仕事も、自分の理想を掲げて5年単位で細かく計画を組み立てて。とにかくそこから外れないように、焦っていたんです。当時の口癖は、『私には時間がない』でした」

「今なら、『そんなに生き急がなくても……』と思えるけれど、20~30代の私は自分の理想の道から外れないようにと焦っていました」
「今なら、『そんなに生き急がなくても……』と思えるけれど、20~30代の私は自分の理想の道から外れないようにと焦っていました」

用意周到に3種類の人生プランを考えたけど…

 実は、シンガポールに行く時、事前に3種類の人生プランを考えていたという小安さん。プランAは、子育てをしながら、専業主婦の駐在妻として生きていく。プランBは、シンガポールで仕事を見つけ、働き続ける。プランCは、仕事を辞めて子育てが落ち着いてから再就職する。

 渡航後にかなえたかったのは、プランBだった。結婚前に取得していたFPの知識を基にエクセルでライフマネープランを作成。絶対にやっておきたいことやライフイベント、必要なお金を割り出してグラフを作った。

 「でも結局、どのプラン通りにもならなかったんです。人生は、想定通りには進みません。ただ、一つ言えるのは、一歩踏み出すためには、仮説を立ててやってみることが必要だったということ。実際、何かを選ばなければ、自分に合っているかどうかも判断できないですもんね。たとえ選んで失敗しても、「これならどうだ?」「もう一つの道に進んだらどうだろう?」とオプションを常に出して試してみる。私は、こうしてトライ&エラーを重ねることで、誰のものでもない自分らしいキャリアが得られたと思っています」

小安美和さんの「最高の失敗」

■失敗
海外で働くという自分の理想に近づくために、人生プランを5年単位で組み立てて、想定通りにいかない自分に「時間がない」と焦っていた



■失敗から得た教訓
いくら準備万端でも、オプションを用意していても、人生はプラン通りに進まない。トライ&エラーを繰り返し、中長期で自分らしい道を見つければよい

取材・文/西尾英子 写真/鈴木愛子