何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで…「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、米ブルーボトルコーヒーの社外アドバイザー、インフロレッセンス代表として活動中の井川沙紀さん(42歳)の失敗図鑑(下編)です。

(上)元ブルーボトル取締役 井川沙紀 転職活動で30社不採用
(下)35歳でブルーボトルコーヒー代表 マネジメントに壁 ←今回はここ

完璧主義から解放された30代 のびのび働く

 米国生まれのコーヒーブランド「ブルーボトルコーヒー」の日本ローンチを担当後、ブルーボトルコーヒージャパンの代表、アジア代表を経て、米国本社の経営メンバーとしてブランドの統括責任者を務めた井川沙紀さん。現在は独立し、米ブルーボトルコーヒーの社外アドバイザーの他、日系、米国系の企業を中心にブランディングやコミュニケーション戦略のコンサルティングを行うなど、多彩に活躍している。

 大きな転機が訪れたのは30歳のとき。29歳で離婚後、3回目の転職を果たし、米国系フード会社が展開するソフトプレッツェルブランドの日本新マーケット展開を担うことになった。

 「20代後半の転職活動で、条件重視の会社選びは自分に合わないと分かりました。自分の心がワクワクする新規事業に携わりたいと思っていたとき、ご縁があったのが米国系のフード会社。これから日本で新マーケットを展開する上で、マーケティングやPR戦略が重要になると考え、これまでのキャリアをアピールして入社が決まりました」

 心機一転、新たな仕事にまい進した井川さん。この頃には、自分を縛っていた以前の完璧主義から解放され、のびのびと働けるようになっていた。周りの目も気にならなくなり、「自分の人生は自分で責任を取るという覚悟ができて、思い切りやりたいことをやろうと決めました」と話す。