「支えてくれたり、考えることを増幅させてくれたりする異性がいるのって、私にとってはありがたい環境なんです。やっぱり、私はパートナーはいたほうがいいと思うタイプだった。

 もちろん、20代からの経験を振り返れば、人を傷つけたという申し訳ない思いがすごくあります。とはいえ、今さら過去は変えられない。だから、自分が幸せになって、誰かほかの人に役に立つことが恩返しだと思って、生きています」

お互い放っておける依存しない関係

 2度の離婚から学びを経て、出会った5歳年下の夫は、生活面でも精神面でも一人で生きていける自立した人。お互いに放っておけるタイプだ。

 「私はやりたいことがあり過ぎるので、それに干渉されたり、依存されたりするとうまくいかないの。だから、そうじゃない人を選ぶことが大事だと分かった」。彼には彼の世界があり、自分には自分の世界がある。お互いに依存しない二人の暮らしは、10年たった今もうまくいっている。

 「大事なのは、結婚相手一人にすべてを求め過ぎないこと。一緒にいてストレスにならない、一緒にいて楽しいのなら、それ以上求めない。自分を高めてくれる人とか、趣味の世界を共有できる人とか、求めるものを広げ過ぎると、相手に不満がたまってくるでしょ?

 一緒に暮らす以外のことは、夫以外の人と共有すればいいんですよ。そのほうが、世界が広がる」

結婚をブラックボックス化しない

 紫乃さんは、3度の結婚経験者として、よく婚活相談を受けることがある。話を聞いて思うのは、今の状況の逃げ場として結婚をブラックボックスのように考えている人が多いこと。

 「実はね、私も1回目のときはそうでした。仕事がしんどいとか、社員寮を出たいとか。その解決策として結婚があった。でも、もし、目の前に課題があるなら、それは結婚と切り離して考えたほうがいいですよね。結婚しても、課題を解決することにはならないから」

 2度の離婚も後悔していないという紫乃さん。その体験こそが貴重な財産だという。