何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで……「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、税理士で、『ブスのマーケティング戦略』(文響社/集英社文庫)、『「フツーな私」でも仕事ができるようになる34の方法』(日経BP)の著者、田村麻美さん(37歳)の失敗図鑑(上編)です。

(上)田村麻美 「他人軸」で「それっぽく」生きてもいいよね ←今回はここ
(下) 田村麻美 「子どもが小さいのに働くの?」にブチ切れた

田村さんが振り返る「大きな失敗」は新卒での就職と産後すぐに復帰したときだそう
田村さんが振り返る「大きな失敗」は新卒での就職と産後すぐに復帰したときだそう

「自分の武器が通用しない」挫折した高校時代

 2018年に出版された書籍「ブスのマーケティング戦略」(文響社/集英社文庫)の著者で税理士の田村麻美さん。小学生の時に「自身がブスであると気づいた」後、その認識を受け入れ、起業、結婚をかなえるまでの道のりがつづられたこの本は、女性たちの間で大きな注目を集めた。

 「私は、子どもの頃から秀でたものがほとんどなくて。容姿がかわいいわけではないし、運動も得意ではない。音楽を習ったこともありますが、とても才能があるとは思えなかった。飛び抜けてできるものがなくて、子どもながらに『自分は凡人』と分かったんです。それならば、将来、どこの会社でも働けるような大人になろうと思いました。ただ、勉強だけは好きで得意だったんです。中学3年生までトップクラスの成績をキープしていたので、周りの大人たちから褒められ、それだけは自信を持っていました」

 小、中学校と上位の成績を維持していた田村さんは、高校受験で埼玉県の名門女子高校、浦和第一女子高等学校に合格。周囲からも「すごいね」と言われたが、高校入学後、田村さんは大きな挫折を味わうことになる。

 「それまでずっとトップの成績だったのに、高校に入った途端、最下位に。同級生たちがみな優秀で、私も勉強をやめたわけではないのに、落ちこぼれてしまいました。今まで自分は井の中の蛙(かわず)だったんだ、勉強ができる人ってこんなにいるんだ、とショックを受け、学校に行きたくなくなりました

 最大にして唯一の武器だった勉強が通用しないと気づいた田村さんは、退学を考えるほど激しく落ち込んだが、家族の支えもあり「腐っていても仕方がない」とどうにか考え方を切り替えた。

 ここから、田村さんの「自分が快適に生きるためのマーケティング」が始まった。