独自のシステムでフードデリバリーサービスに革命を起こし、配達パートナーというフレキシブルな働き方にも新風を吹かせたウーバーイーツ。その日本代表を務める武藤友木子さんが、「最高の失敗図鑑」に登場。これぞグローバル・エリート! という輝かしい経歴に失敗の「し」の字も見当たらないが、本人いわく「30代前半までは血気盛んで、何でもうまくいくと勘違いしていて痛い失敗もした」という。一体、どんな失敗をして、そこからどんな気づきを得たのか。世界を率いるトップリーダーならではの、仕事に対する考え方や取り組み方、そして生き方も学び取ろう。
武藤友木子「あなたはリーダーじゃない」と部下の言葉 ←今回はここ
年を重ねて「何でもうまくいく」という勘違いが解けた
「あるプロジェクトの案件で日曜日に問題が発生して緊急招集され、月曜から水曜まで毎日40分ずつしか寝ることもできず、木曜日は徹夜、金曜日に最終報告を終えた、なんていう忙しさでしたが、モーレツに働けて、めちゃくちゃ楽しかったですね」
そう振り返るのは、1998年に新卒で入社した世界最大級の総合コンサルティング会社、アンダーセン・コンサルティング(現・アクセンチュア)でのこと。入社早々、武藤さんは、第一線の戦略コンサル部門に配属された。そこでは、上司は部下に裁量を与えて、それぞれが考えるやり方で自由に進めさせる働き方が主流だったという。
「自分なりに一生懸命プランを練ってまとめて、上司に提出すると毎回必ず全否定されてズタボロになるんです。1回でOKをもらったことは皆無。でも、どうしてだめなのかを聞くと、確かに! なるほど! と心から納得できることばかりで、その気づきが、私にとってはものすごく面白かったんですよね」
「これは天職か」と思えるほど充実していた一方で、大企業相手のプロジェクトは完遂までに長い日数を要し、非効率さを課題に感じるように。同じ内容の仕事でも、ベンチャーなら2、3カ月程度で済むが、大手になるとその倍かかることもある。
ちょうどそのころ、日本にもインターネットバブルが到来し、会社の先輩や同僚から「一緒にインターネット企業を立ち上げない?」と誘われた。
26歳で起業、マネジメントの失敗
「やってみよう」。1999年の終わり、武藤さんは1週間で会社を辞めることを決意し、数カ月後の2000年2月、26歳で起業した。サービス内容はBtoB(企業間取引)のマーケットプレイスで、創業メンバーは4人。全員アンダーセンにいたメンバーで、みんな20代半ばだった。
「サービスがかなり短期間の間に広く浸透した、という意味ではうまくいったと言えますが、経営の仕方は『手探り状態』だったと反省しています」と武藤さんは振り返る。
「一番ダメだったのは、スタッフのマネジメントの仕方」。これが、世界を率いるトップリーダーの一員になった今思う、1つ目の失敗だ。