トランプ現象とフェミニズムには共通点がある

 ロンドンの医大が女性と白人以外の人種を入学させていなかったことが明るみに出て大きなスキャンダルとなり、医大側が謝罪に追い込まれました。

 つまり、イギリスには30年前に既に「性別や人種による差別はよくない」と声を上げる人がいたのですが、同時代の日本ではどうでしょう? ――そう、ほとんど誰も声を上げていなかったわけです。女性ですら「これが女性の在り方だ」「女性は礼儀正しく男性に従いなさい」という価値観を受け入れてしまっていた。仮に当時、声を上げた女性がいたとしても、応援者がいなくて孤独だったと思います。

 でもこんな状況はソーシャルメディアの出現によって、ガラリと変わりました。勇気を出して声を上げた人が仲間とつながりやすくなったんです。

 例えば、「#MeToo」のムーブメントは「私もおかしいと思っていたんだよね」という個人が連携できるようになったわけです。女性はマイノリティーって言われますが、シンプルに人口だけで見ると全然マイノリティーじゃない。現在の日本では50%どころか、51.3%。むしろ、やや多数派の存在です(2019年1月1日時点)。社会的に弱者だった女性がソーシャルメディアによって結束したら強かった、というわけ。

 トランプ現象とフェミニズム現象は近い仕組みだな、と思うことがあります。思想の中身そのものは全然違うんですけど。