28歳でマサチューセッツ工科大学(MIT)の助教、32歳で東京大学特任准教授、33歳で東京芸術大学デザイン科准教授に就任……とキラッキラな人生を歩んでいるかに見える、アーティストのスプツニ子!さん。「20~30代の働く女性同士、共有したいことがいっぱいある!」とのこと。さあ、スプツニ子!さんのお部屋へようこそ。ゆっくりお話ししましょ。

メディアや社会が反応したのは「前進」

 前回、この連載で「Structural Sexism(構造的性差別)」についての記事を公開した翌日、日本オリンピック委員会(JOC)・臨時評議員会で森(喜朗)前会長が女性差別に関する発言をしました。

 あのニュースが流れてきたときの私の最初の感情は「あきれ」。「怒る」を通り越して「失笑」しかありませんでした。あれほど問題ある発言を日本のオリンピック委員会のトップがしてしまい、しかもその会議に出ていた何十人かがそれを笑うという状況で、もうホントにあきれてしまうようなケースだと言えるでしょう。

 ただ、あの発言の後、メディアや社会がしっかり反応したので、議論のきっかけになりました。報道では「構造的性差別」という考え方に触れる記事もいくつか見つけました。問題ある発言をしてしまう人がトップにいて、その発言を誰もいさめず、笑い、その結果、女性がさらに発言しにくくなってしまう。これは組織トップの問題にとどまらず、彼をトップに据えている組織全体の問題。そのことに気づいて、それをみんなが話題にしたことは前進だと思います。

 さて、もし私が住んでいた米国や英国で同じことが起きたとしたらどうなるか、少し考えてみました。