1~2時間の教授会のために、往復2時間かけて移動していた

 私が勤めている日本の大学へは、家から片道1時間近くかかります。月に1回開催される教授会(1~2時間)に参加するため、遠路はるばる電車に揺られていきます。出席したところで、数十人の教授が参加しているので、一言も話さないこともざらでした。内容は資料を読めば大体分かりました。それでも、その場に「いる」ことが必要とされる。その日に大学でほかの用事があればいいんですが、そうでもないときに、2時間会議室のイスに座るために、往復2時間かけて移動する、というのがなかなか大変で。

 コロナ以前も、ずっと「オンラインで教授会ができたらいいなぁ……」とひそかに思ってたんですが、そんなこと、なかなか言い出せませんでした。言ってもそう簡単に変わらないだろうと思ってたので。

 でも、今回の外出自粛要請を受けて、あっという間に、大学でも教授会がオンラインで開催されるようになりました。ほかの仕事に関するミーティングも「コールで」とお願いすることが失礼じゃなくなりました。むしろコールにしたほうが、エチケットとして喜ばれるようになった気がします。「いっせーのせ」で、みんなが無駄なものを省いたときに、すごく効率がよくなったんじゃないかな。

 ただ、やっぱり一つ難しいなと思うのは、ビジネスで新たにお世話になる人にお目にかかる「初めまして」の場も、リモートにしなくてはいけないこと。人の空気感って実際に会わないと分からないこともあるので、初回だけは、できれば直接お目にかかりたいという気持ちがあります。今の状況下では難しいですけれど。

教育のオンライン化による、プラスの影響

 さて、リモートについて、仕事だけではなく、ほかの分野にも目を向けてみましょう。

 例えば、リモートが教育業界に与える影響は大きいと思います。教育をオンラインに移行すれば、社会にとってプラスの影響があります。最初はうまくいかないこともあるかもしれません。でも、もし社会全体がうまく適応できたら、教育の機会均等化が進んでいくと思います。

 従来型の教育、つまり、授業がほぼすべてオフラインで行われる方法では、住む地域や家庭の環境によって子どもが受けられる教育の質や内容が変わります。でも、教育をオンライン化すれば、これを平等化できます。

 中国では授業がほぼオンラインに移行され始めていますが、国内トップクラスの先生の授業を配信することで、地方を含め、子どもたちが高品質な授業を受けられるようになってきています。