28歳でマサチューセッツ工科大学(MIT)の助教、32歳で東京大学特任准教授、33歳で東京芸術大学デザイン科准教授に就任……とキラッキラな人生を歩んでいるかに見える、アーティストのスプツニ子!さん。「20~30代の働く女性同士、共有したいことがいっぱいある!」とのこと。さあ、スプツニ子!さんのお部屋へようこそ。ゆっくりお話ししましょ。

円も米ドルも、価値はある意味で「仮想」

「Web3や仮想通貨、NFTのキーワードは英単語で『decentralized』。日本語で『非集中的な、分散的な』という意味です」(スプツニ子!さん)
「Web3や仮想通貨、NFTのキーワードは英単語で『decentralized』。日本語で『非集中的な、分散的な』という意味です」(スプツニ子!さん)

 皆さんは暗号資産に対して、どんなイメージを持っていますか?

 中には「『仮想通貨』とも呼ばれているし、あくまで仮想のもので、現実にはあまり使えない通貨なのでは?」と思っている人もいるかもしれません。しかし、どうでしょうか。考えようによっては、円も米ドルも、その価値はある意味で「仮想」だといえるのではないか、と私は思います。

 私たちが日常的に使っている通貨の多くは、ある国の政府が「これは一定の価値を持つ通貨です」といって保証し、人々がそれを信じることによって価値を見出だされているものです。日本や米国ではそれなりに安定した政府が通貨を管理しているため、通貨の価値が突然なくなることは起きにくいですが、情勢が不安定な国では、ある日からいきなり通貨が使えなくなったり、価値が極端に下がってしまったりする場合もあります。

 暗号資産がつくられた背景には、「通貨は政府によって保証されているとしても、どこまで信頼できるものかは分からない」という根本的な思想があります。

 最初の暗号資産である「ビットコイン」の誕生は、2008年10月。サトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)を名乗る人物がネット上に投稿した論文によって提唱されました。画期的だったのは、ブロックチェーンというテクノロジーによって、通貨の信頼性が担保されたこと。

 キーワードは英単語で「decentralized」。日本語で「非集中的な、分散的な」という意味です。誰もこの通貨に対して圧倒的なコントロール権を持たないことを表します。一つの国・コミュニティや一人の独裁者が、暗号資産の価値を操作することは非常に困難になっています。ブロックチェーンのテクノロジーを使って信頼性が担保され、みんなで価値を見出だして使う。それが暗号資産の考え方です。