28歳でマサチューセッツ工科大学(MIT)の助教、32歳で東京大学特任准教授、33歳で東京芸術大学デザイン科准教授に就任……とキラッキラな人生を歩んでいるかに見える、アーティストのスプツニ子!さん。「20~30代の働く女性同士、共有したいことがいっぱいある!」とのこと。さあ、スプツニ子!さんのお部屋へようこそ。ゆっくりお話ししましょ。

「32歳あるある」に悩み、思わず一気にいろいろな決断をしてしまった

 この連載が始まったのは2019年11月。第1回記事のタイトルは「スプツニ子! 仕事? 子ども? 悩む『32歳あるある』」でした。さて、連載開始から約3年たった自分を見てみると、NFT(*)アートの領域に取り組んだり、思い入れのある事業で起業したり、パートナーと出会って子どもを出産したり(娘はそろそろ1歳)――と、大きな変化を経験しています。

 「32歳あるある」に頭を悩ませていた頃の自分を思い返すと、焦ったり、不安になったり、いろいろなことがありましたが、自分なりに乗り越えてきたのかなという感覚があります。

 今振り返ると本当に大した問題ではなかったと思うのですが、迷ってばかりの、あのときのことは忘れられません。いろいろな課題が一気に押し寄せたように思えたときのことを。米国のMITから東京大学に移籍したり、プライベートでも大きな決断をしたり。

 悩むことも多かったですが、結果的にオーライで、今の状態には感謝しています。でも、正直、あれだけ一気にいろいろな決断をしたのは、ちょっと急だったかもしれないな、と思うこともあります。キャリアと妊娠・出産のタイミングなどを含め、戸惑った部分もありました。

*NFT…Non-Fungible Tokenの略。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い「唯一無二の本物」と証明可能にしたデジタル資産の要素技術。非代替性トークンと呼ばれる