「内省」は繰り返すことに意味がある

 価値観をひとつに絞り込む、と聞くと、一生変わらない自分の核を決めるというイメージを持つかもしれません。しかし、価値観は自分が成長するにつれて変わるもの。たった数年でも経験値は変わってくるからです。

 例えば私は大学時代、プロテニスプレーヤーを目指していました。しかし就職活動時に親からアドバイスを受けて公務員試験を受験。消防士になり、ハイパーレスキュー隊員として危険な状況下で人命の救助にあたりました。隊員引退後は外資系大手生命保険会社でトップセールスマンになり、現在は独立して保険代理店を経営しています。当然、プロテニスプレーヤーとして世界で活躍したいと考えていた頃と現在では、価値観が大きく異なります。

 自分自身が変化についていけず、「価値観がブレてしまう」「自分には信念がない」と嘆く人もいます。しかし、経験やライフステージによって価値観が変わるのは自然なこと。だからこそ定期的に「内省」の時間を持つことが必要なのです。

 まずは「アイデンティティーの法則」で現在の自分の価値観を確認してみてください。そして数カ月おきに自身の価値観を振り返り、変化を受け入れる。すると、柔軟に成長している自分の姿が見えるようになり、その成長度合いを実感できるはずです。

 そして見えてきた自分のアイデンティティーを反映させた目標を立て、その実現のための方法、戦略を考えていきます。これについては次回、お話ししたいと思います。

豊福さんの「内省」ポイントまとめ
●「経験や体験」をするだけでは、本当の意味での成長は得られない。時間をおいて振り返り(内省)、自分だけの「教訓」を見いだして初めて人は成長する
●まずは38のアイデンティティーの項目に沿って自身が最も大切にしている価値観を絞り込もう
●定期的に「内省」を繰り返し、自身の価値観の変化を受け入れることで、成長を実感できるようになる
自分が最も大切にする価値観を定期的に見直そう
自分が最も大切にする価値観を定期的に見直そう
豊福公平(とよふくこうへい)
Gift Your Life代表取締役
豊福公平(とよふくこうへい) 2005年、ハイパーレスキュー隊員(公務員)からライフプランナーに転職。2013年、Gift Your Lifeを設立。人生設計のアドバイスをするとともに、エグゼクティブトレーナーとして経営者や組織のリーダー、人脈を構築したいビジネスパーソンに向けて「人脈開拓のための究極のリーダーシップ」を提供している。著書に『たった20秒ではじめて会うお客さまの心をつかむ技術』(KADOKAWA)、『すごい交渉術』(SBクリエイティブ)など。

取材・文/華井由利奈