毎日仕事に追われ、帰りの電車でうつむきながらスマートフォンと向き合う日々。本当にこれでいいのか、自分がしたかったことはこんなことなのかと、ふと思うことはありませんか? そんなときにぜひ試してもらいたいのが、スマホをちょっと手放して、自身と向き合う「内省」です。今回は、エグゼクティブトレーナーとして経営者やビジネスパーソンにリーダーシップ論を提供している豊福公平さんに話を聞きました。バラク・オバマ前米大統領も師事したという世界的メンターのジョン・C・マクスウェルから直接指導を受けた豊福さんが実践している内省の方法を紹介します。

やりたいことが分からない原因は「内省不足」だから

 仕事や習い事、旅行、大切な人と過ごす時間。経験を積めば積むほど思い出は増えていくけれど、成長できていない気がする。本当にやりたいことも分からないまま……。もしそんな状態に陥ってしまっているのなら、それは「内省」が足りていないからかもしれません。

 私が師事するジョン・C・マクスウェルは、アメリカの第44代大統領であるバラク・オバマ氏もメンターと仰ぐリーダーシップ論の権威で、「内省」の時間の大切さを説いています。経験や体験そのものを重視する風潮もありますが、彼は「多くを経験しても、そこから学ばなければ意味はない」と言います。時間をおいて体験を振り返り、自分のためになる教訓を見いだして初めて、人は成長できるということです。

 マクスウェルは「内省」の時間を取ることで以下の4つの成果が得られると語っています。

●自分の経験を「見識」に変えられる(役立てることができる)

●自分が「正しい道」をたどっているかを確認できる

●自分の核が分かる

●直感がさえる

 では、どのように「内省」すればよいのでしょうか。マクスウェル氏は12月の最後の1週間を内省の時間に充て、スケジュール帳を見ながら1日ずつ思い出し、プラスかマイナスの記号を書き込んで評価しているそうです。すると年明けには、「昨年はしてしまったけれど今年は絶対にしないこと」「昨年はしなかったけれど今年は必ずすべきこと」が分かると言います。

 しかし正直なところ、これはバケーションが長い海外だからこそできること。長期休暇を取りづらい日本では、1週間もの時間をかけて1年を振り返るのは難しいでしょう。そこで今回は、短時間で手軽に内省する方法を紹介します。