毎日仕事に追われ、帰りの電車でうつむきながらスマートフォンと向き合う日々。本当にこれでいいのか、自分がしたかったことはこんなことなのかと、ふと思うことはありませんか? そんなときにぜひ試してもらいたいのが、スマホをちょっと手放して、自身と向き合う「内省」です。今回は、エグゼクティブトレーナーとして経営者やビジネスパーソンにリーダーシップ論を提供している豊福公平さんに話を聞きました。バラク・オバマ前米大統領も師事したという世界的メンターのジョン・C・マクスウェルから直接指導を受けた豊福さんが実践している内省の方法を紹介します。

近所のハンバーガーショップで始めた「内省」

 私が「内省」の大切さに気付いたのは、マクスウェル氏に出会う何年も前のことでした。いま振り返ると、大学時代に実家近くのハンバーガーショップでシェークを飲むことが「内省」の始まりだったように思います。当時の私には何の取りえもありませんでしたが、自分の時間を持つことだけは習慣になっていました。

 あるとき、ハンバーガーショップで真っ白なノートを開き、自分の率直な気持ちを書き出してみました。「高校生の頃から続けているテニスで九州チャンピオンになり、国内ランキングに名前を刻みたい」。所属するテニス部内ですら特に強いわけではなかった私にとっては、夢のような話です。しかし、ノートに書いた言葉を念頭において努力を重ねた結果、夢がかないました。

 「もしかしたら、自分と向き合った時間のおかげで理想が現実になったのかもしれない」。そう思った私はその後も内省を続け、目標をノートに書きつづりました。すると、就職氷河期で超高倍率だった公務員試験を突破して消防士になることができ、憧れていたハイパーレスキュー隊員の試験にも合格。隊員引退後に就職したプルデンシャル生命ではトップセールスマンとして何度も社長杯入賞を果たし、最終的に独立して自分の会社を持つことができたのです。

 そしてマクスウェル氏に出会い、自分の時間を持つことの大切さを聞いたとき、内省は目標達成のための武器になると確信しました。「幸せな人生を歩みたい」と思いながらも、具体的にどうなりたいのか、どんな目標を達成したいのか、自分でも分からない人のほうが多いのが現実です。心の奥に隠れている本音を知るためには、どうしたらいいのでしょうか。まずは、私が実践している「内省時間のつくり方」からご紹介します。